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2007 ミラノサローネレポート
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桐山登士樹+西中川 京 : Milano Slone 2007 傾向分析編
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メイン会場となったフィエラ入口の様子。来場者で溢れるわりにはスムーズに会場へ入れる。


桐山登士樹
Toshiki Kiriyama


桐山登士樹

デザインディレクター 株式会社TRUNK主宰、富山県総合デザインセンターデザインディレクター、YCSデザインライブラリーディレクター、Shiodomeitaliaクリエイティブ・センターデザインプロデューサー

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「桐山登士樹の
注目デザイン&デザイナー」

西中川 京
Miyako
Nishinakagawa


西中川 京

コーディネーター
東京学芸大学大学院造形芸術学修了。ユトレヒトセントラルミュージア ムのインターンを経て、02年株式会社TRUNK入社。
展覧会 / セミナーのキュレーションとコーディネーションを担当。

今年も4月18日から23日にまで家具の国際見本市ミラノサローネ(i Salone)がミラノで開催された。年を追うごとに規模を拡大するこの国際見本市。昨年からはメイン会場をミラノ郊外に建てられた新しいフィエラ(国際展示場)に移し開催されている。奇数年である今年は照明器具の見本市であるユーロルーチェも同時に開催され、実に209,417㎡もの面積を世界各国から集まった2159のメーカーが埋め尽くし、新しいトレンドや優れたデザイン、ビジネスなどを競った。


フィエラの建築はフクサスの設計によるもの

フィエラの建築はフクサスの設計によるもの。ガラスの汚れや雨漏りが目立つ。メンテナンスの手落ちのせいで折角の素晴らしい建築も良さが半減。



今年で46回目を迎える国際見本市に集まるのはメーカー、バイヤー、デザイナー、マスコミ関係者など。デザインや建築を学ぶ学生の姿も多い。参加者の半数以上がイタリア以外の国から集まり、毎年20パーセント前後の割合で動員数を増やしつづけているというのであるから、驚異的なグローバルイベントである。

Fabio Novembreデザインの植栽付きの椅子Casamania by Frezza

市内各所もミラノサローネの会場となる。写真はFabio Novembreデザインの植栽付きの椅子Casamania by Frezza。スカラ座広場に設置された。


期間中はフィエラ以外にもミラノ市内のメーカーショールームやギャラリーなどを会場に、メーカーやデザイナーの新作展示や、様々なグループのプロジェクトの発表会などが昼夜を問わずに展開される。世界中から集まる関係者が、会場を見学し、情報を仕入れ、意見を交換し、レセプションやパーティに参加するのであるから、この6日間がミラノおよびイタリアに生み出す経済効果を考えると、まさしく国際見本市の「見本」とも言えよう。


moroso

市内のショールームの中でも圧巻だったのがmoroso。吉岡徳仁氏によるストローを使ったプレゼンテーション。


さて、今年のミラノサローネで見られたデザイン傾向は以下のように集約できる。
1)全体 : センチメンタルかつラスティックなデザインは集大成へ。美しくてタフ、よりエッセンシャルなデザインへ移行する様子。
2)マテリアル1 : スチール、アルミ、コパーなど金属を使用した作品が多くのメーカーから発表。
3)フォルム : 一枚の大きなシート(面)、リボンのような一本のストリップ(片)、長細い一本のワイヤ(線)を覆ったり、折り曲げたり、重ねたりしたデザインが目立つ。
4)カラー : 白や黒もしくはシルバーが目立つものの、三原色を中心に強いカラーを使用した作品も多数見られる。ただし2色以上を組み合わせるコンビネーションはあまり見られない。
5)マテリアル2 : 大理石やファー、ハラコなどここ数年あまり見なかった素材が再注目。


サスティナビリティをテーマに歴代の名作椅子を展示

成熟したプレゼンテーションをトルトナ地区で行ったarflex。サスティナビリティをテーマに歴代の名作椅子を展示。もちろん色はコーポレートカラーの赤で。


市内で開催されたインゴマウラーの展示

市内で開催されたインゴマウラーの展示





6)ファブリック:特定のファブリックはないが、フェルトのような厚手のものよりはポリエステルやサテン等軽いもの使われる。また継ぎ目(シーム)や縫い目(スティッチ)をアクセントに活かしたものも見られる。
7)パターン:東アジアモチーフのカラフルなパターンが見られる一方で、ロベール・ドローネーやロシアンアヴァンギャルドを彷彿とさせるパターンや色調のものも登場。全体的に絵画的な印象を受ける。


Du Pont Corianの展示

Du Pont Corianの展示。建築家のジャン・ヌーベルにデザインを依頼し、コーリアンを使用したインテリア作品を提案。写真はキッチンのキャビネット。薄いコーリアンを抜ける光が美しい。


トルトナ地区で開催されたレクサスの展示のオープニングパーティの様子

同じくトルトナ地区で開催されたレクサスの展示のオープニングパーティの様子。




また、今年のミラノサローネは全体的に華やかな雰囲気の中で開催された。その事はイタリア及びヨーロッパの好景気を反映していたと思われる。その中で特筆する事項は以下の通り。
8)例年以上に多くの日本企業やデザイナーの参加が見られる。
9)EUの中では特にオランダ企業やデザイナーの参加が目立つ。
10)ミラノサローネの副産物として素晴らしいアートやデザインの展覧会が開催されている。


Frosのパーティの様子

市内で開催されたFrosのパーティの様子。Frosは今回のユーロルーチェで最も見応えのある作品が揃っていたメーカーの一つ。


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