ブランドとしての展開と将来性
── 「GALAPAGOS」と名づけられた新ブランドは、すでに電子書籍端末から携帯電話端末(Softbank 003SH、Softbank 005SH) へと展開、今後さらに生活の他領域へと広がりをみせることになる。
飯田氏 「目指してきた『ワクワク感』は、デザインだけではなくUIやコンテンツサービスすべてで実現できるものです。今はまだ進化途中、発展途中だと思っています。すべてにおいて常に進化発展させていかなくてはならない。では、デザインではどう進化させたらいいのかと考えた時、色・柄・形を決めるような狭義のデザインではなく、UI、そしてサービスとの三者連携で、生活のなかのモノの在り方を変えることが必要になってきます。つまり、生活提案レベルです。少し具体的にサービスの展開で言えば、映画や動画、音楽の配信が実現に向けて動いている段階にある現在、IDをどう変えていくか。さらに課題となるはずです」
太田氏 「市場での手応えについて、ユーザーの聞き取り調査を発売後に行いました。満足と不満それぞれを改善しながら、デザインとして何ができるか検討する必要を感じています。個人的にはカスタマイズやユーザーの満足度を上げる工夫をしていきたいと思っています」
── 先行開発の精鋭部隊が集結したチームだからこそ、その力が新規事業への大きな一歩を強く印象づける「GALAPAGOS」に結実したと言えよう。誰もが憧れる場所を目指し、いまデザイナーを目指す若手や、ステップアップを望むマネージャーたちが参考にできるのは、どういった姿勢だろうか。
太田氏 「学生時代に『デザインはセンスが1%で、残りの99%はどれだけ勉強しているか、どれだけ良いものを見ているか、だ』と教わりました。インターフェイスに関して言えば、どうやったら格好良くなるだろう?と意識しながらあらゆる物を見て、情報収集しています。例えば映画もそのひとつ。映画の中の格好良さをインターフェイスのアイデアに置き換えたらどうなるか、考えてみるのは楽しいですね。常に自分のアンテナを張っていくことが欠かせないし、大切だと思っています。格好良い!と思ったらなぜ格好良いのか、自分なりに追求してみると、新しい発想に繋がることもあると思っています」
飯田氏 「自分自身の経験に基づきますが、新しいことへ挑戦するのはとても大切です。私が携わってきた『液晶ビューカム』をはじめ、とにかく新しい挑戦への執着を続けてきて、今があります。続けていれば必然的に革新性の高い仕事が回ってくるものです。新しいことをする=リスクがある=心配。それは当然だと思いますが、リスクを恐れずにチャレンジできる若い人を求めていきたいですね。マネージャーでいうと、監督ではなくてコーチング。若い人の良さを引き出す人材も大切です。
今の若い人は充実したデザイン教育を受けてきているし、良いツールもたくさん身につけています。私よりもずっと優秀な精鋭がたくさんいますから(笑)、自信をもって新しいことにチャレンジして、生活提案をしてほしい。色・柄・形にとらわれず新しいデザインへ挑戦してほしい、というのが素直な気持ちです。 そして、評価の基準がまだ確立されていないインターフェイスデザインでは、動画シミュレーションが大切になるかもしれないと感じています。IDとUIが一体化した動作を確認しながらデザインできるようになった時、今後の展開にも劇的な変化が訪れるだろうと予感しています」