TOKYO DESIGN WEEK 2015の#emptyに集まったインスタグラマー達、まずは記念撮影

TOKYO DESIGN WEEK 2015の#emptyに集まったインスタグラマー達、まずは記念撮影

デザインウィークの中で、歴史も規模も頭抜けた存在のTOKYO DESIGN WEEK

ブランドディレクター山崎泰の「design week @tokyo」通信(10月25日午前)

10月25日はとにかく晴天で気持ちの良い秋晴れの日曜日でした。この日、朝7時半に絵画館前へ行きました。なぜかと言うと「#empty」というイベントをTOKYO DESIGN WEEKが開催することになり、そちらに私もお呼びいただいたからです。#emptyとは、開場前の無人の会場で写真を撮ってインスタグラムにあげるイベントで、これだけの規模で開催されるのは日本初だそうです。本来の趣旨とは違うかもしれませんが、日中の時間が有効に使えることと、お客さんがいないのでゆっくり見て回ることができそうで、取材も兼ねて訪問しました。

朝の空気の中、集中して展示物と向き合うことができたように思います。開場前で準備中の展示については、開場してから確かめに行くなど、ペース良く一通りを見て回ることができました。また、学生展の屋外展示の中には、前日の強風で被害を受けたものもあったようで、朝早くから皆で懸命に復旧していました。頑張れ!

<10月25日午前の訪問先>
・TOKYO DESIGN WEEK 2015 前期

TOKYO DESIGN WEEK 2015 前期

会期:10月28日まで
会場:明治神宮外苑絵画館前(中央会場)

広大な会場で展示もたくさんありますが、気になったものをいくつか紹介します。

まずは「100人展」より進藤篤さん。ときどき、海にプカプカ浮かぶ発砲スチロールを見て残念な気持ちになりますが、これを拾って溶かして海のような意匠を作り、家具等に展開する「La mer/海の家具」を提案していました。素材に対する取り組み、ストーリーが良いと思います。以前、JDNが運営をお手伝いしている公募企画で彼にプレゼンテーションしてもらったことがあり印象に残っていました。

100人展より進藤 篤さんの「La mer/海の家具」、#emptyにアップした画像の中ではこれが一番人気でした

「100人展」より進藤 篤さんの「La mer/海の家具」、#emptyにアップした画像の中ではこれが一番人気でした

「インタラクティブ 建築模型展」では全てを3Dプリンタの出力で作ったという清水建設の建築模型が目を引きました。空間デザインにおいて模型は非常に有効なツールで、とりわけ日本人は手先が器用だからでしょうか、繊細で優れたものを作ります。そこに3Dプリンタがどのように導入されていくのか関心を持っています。過渡期の今においては野心的な事例といえるでしょう。

インタラクティブ 建築模型展より清水建設による「中央区立京橋こども園」の模型、すべてが3Dプリンタの出力で作られている

「インタラクティブ 建築模型展」より、清水建設による「中央区立京橋こども園」の模型。すべてが3Dプリンタの出力で作られている

「ASIA AWARDS 学校作品展」からは多摩美術大学インテリアチームの「Off The Wall」。大量のストローが刺さった壁。こちらとあちらから、それぞれストローを押すことで模様を作ったり、遊び的なコミュニケーションを楽しめます。

「ASIA AWARDS 学校作品展」より大量のストローを使った多摩美術大学インテリアチーム「Off The Wall」

「ASIA AWARDS 学校作品展」より、大量のストローを使った多摩美術大学インテリアチーム「Off The Wall」

様々な企業が出展する「Creative Life展」、テーマは「Tokyo Creative Life」です。オートデスクのブースでJAMES DYSON AWARD 2013で国際準優勝になった「exiii」を発見。義手や装具という分野はCADデータと3Dプリンタという組み合わせの強みが最も発揮されますね。

Creative Life展よりオートデスクのブースで展示されていた「exiii」

「Creative Life展」よりオートデスクのブースで展示されていた「exiii」

「プロ展」は多士済々で、TOKYO DESIGN WEEK全体のレベルを牽引している印象です。川上元美さんはメッシュロビー「PAUSA」/ ニットラウンジ「FITTO」を展示されていました。

プロ展より川上元美さんのメッシュロビー「PAUSA」/ ニットラウンジ「FITTO」

「プロ展」より川上元美さんのメッシュロビー「PAUSA」/ ニットラウンジ「FITTO」

同じような意味で「インタラクティブ 建築模型展」を牽引するのは伊東豊雄さん、隈研吾さん、藤本壮介さん。

インタラクティブ 建築模型展より伊東豊雄さんの「台中国立歌劇院」

「インタラクティブ 建築模型展」より伊東豊雄さんの「台中国立歌劇院」

インタラクティブ 建築模型展より隈研吾さんの「ボタニカル パビリオン」

「インタラクティブ 建築模型展」より隈研吾さんの「ボタニカル パビリオン」

インタラクティブ 建築模型展より藤本壮介さんの「Skyscraper/ Forest」

「インタラクティブ 建築模型展」より藤本壮介さんの「Skyscraper/ Forest」

デザインウィークの数あるイベントの中で、歴史も規模も頭抜けた存在のTOKYO DESIGN WEEK。デザイン以外のコンテンツも多く、様々なベクトルを含む盛り沢山なイベントなので、見る人によって多様な感想を得るのだろうと思います。NTTドコモという大メジャーの横に個人ベースのクリエイターの実験的な展示があり、学生が頑張って作成した屋外展示の横には企業によるコンテナ展。コンサートのエリアがあり、建築模型やアート、ロボットがあり、大御所や若手の様々なデザインが並ぶ。この広がりが10万人を越える動員につながっているのでしょう。

一方で、この拡散が、統一したイメージを得にくくしているとも言えます。家具なの?プロダクトなの?音楽なの?アートなの?といった問いかけには、局所ではYESなのですが、全体を見ると?となるでしょう。

今回は、午前中たっぷりの時間をかけて、空いている会場を見て回ることができました。蚤の市で宝探しをするように、ピピっとくる展示に出会えたので収獲は十分です。また、他のイベントの位置付けを考えたり、社会におけるデザインの受容度合いを考える意味でも、刺激を受けました。TOKYO DESIGN WEEKは、このイベントを通して、狭義にとらえがちなデザインという言葉の再定義を、見る人に問うているのかもしれません。