グローバルな視点から仕掛けるバズ・メイキング

ブログパーツという特性から、思いきったターゲティングでの立ち上げが計画された。


勝部健太郎氏

「ブログパーツそのもの、そしてユニクロックの音楽や映像を受け入れて、その人たち自身が拡散してくれるのはどういったブロガーなのかを研究していきました。具体的にいうと、クリエイティブネットワーク、クリエイティブポータルと繋がりのある人脈を通じ、世界中からいくつかのクリエイティブ系ポータルサイトに貼ってもらったんですね。そこを起点として一番高感度な人たちが情報を落としていく。そういうプロセスをグローバル展開していく上で大切にしています。

他にも押さえるべき情報の起点・流通元はいくつかあります。たとえばヤフーニュースなどに情報として掲載されると、そのソースが別のポータルサイトにそのまま流れていくようなアプローチを意識しました。同様に既存メディアだけではなく、いわゆる有力ブロガーみたいな方々にも先に声をかけるなど、起点をぐっとつかんでそこから落とし込んでいくというターゲッティング手法をとっています。

『ユニクロック』そのものは、企業メッセージとして強く何かを発信していっているかというと必ずしもそうではなく、まず純粋にブログパーツとして楽しんでもらえていると実感しています。誰が見てもまるっきり同じではなくて、これってどういうことなんだろうと想像できる領域が何かある。それがさらにバズをメイキングしてくるだろうなというコンテンツだと思います。ユーザーからはいろんな反響があるのでそれをどうやってバズにふくらませていくか仕掛けていっています。
シリーズとして続くうちに変化していき、実はこういうことだったんだと気づくような…ものすごく高いレイヤーにたどりついたときにやっとわかるっていうようなもの。時間的な要素も含め、さらに広がる工夫も必要ですね」


「ユニクロック」を貼り付けたユーザーの所在国と数を世界地図上に表示する「ワールド・ユニクロック」も制作、ユニクロの実店舗がない世界各国でも「ユニクロック」が普及していることを印象づけている。


「日本のアパレルメーカーとしてジャパンクオリティの高水準を保ち、常にその点に立脚しつつ、他のアパレルメーカーと違うポジショニングを取り、そこで突き抜けていたいですね。ユニクロという企業の情報を世界中に配信し、どんな世界でも受け入れられるものにしていくことが、グローバルのひとつではないでしょうか。
世界中で均一のマーケティング手法で展開させるのももちろんグローバルですが、打ち出す商材は同じでも、各メディアの特性に応じてアプローチを変えるのもありだと思います。本当の意味でのグローバルとは何か、いつも悩みながら進んでいます」


さらに、ウェブで流通する状態に終わらず実体化させたい構想もある。


勝部健太郎氏
「たとえば街を歩いている人でも知っているという浸透のさせ方。わかりやすい例でいうと、携帯電話で読む小説やウェブ小説っていうのが書籍化されて映画化されて、ウェブの中にしかなかったものが流通していくようなこと。そうしたことが実体化だと思うんですよね。
マス化すると言った方が表現は適切かもしれませんが、そういう試みをいくつか段階的にやってみるのはどうだろうかと。ユニクロックが今年様々なアワードを受賞したことが記事になって話題となるのもその1ステップ。もちろん、これまでの3作品を連続的にリリースすることで、結果として強い骨格のフォーマットができたので、継続させることの重要性も感じています」



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「interview 3 / クリエイティブディレクター 田中耕一郎氏」




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