これから先に必ず良いことがある

番組出演中だった2005年〜2006年9月、文化庁の文化交流使としてイタリアへ留学。その期間中は現地で撮影した。


「ロケハンも自分でやり、撮影に良い場所をみつけて日本のスタッフに情報を送り、放送作家とはメールでやりとりして。でも台本を書いてもらってもまた現場で変わるので作りながらってことですよね。作家はいつも収録に立ち会い、臨機応変に変えていってもらっています」


今年からはメインキャラクターを務めるようになり、演じる幅も増えつつある。


神田山陽氏
神田氏と子どもたち
「子どもの出演者と接点ができたのは今年から。少しずつお互いが見えてきましたので、今いる子役8人のうち2人とトリオ漫才みたいなことを初めたり、この子とはこんなことを、こっちの子とはこれをやりたい、といろいろ提案しています。言葉ありきで、何やろうかとテーマが定まりさえすれば、セリフや設定はそれほど時間のかかるものではないですよ。振り付けの先生は苦労があると思いますが、僕自身は楽しんでいます(笑)」

子ども番組に出るのは夢のひとつでもあった。やりたいことはまだまだたくさんある。


「番組全体のことは言えませんが、僕のテーマとしては『これから先に必ず良いことがある』っていうようなことです。明るい未来、将来に対する楽しさみたいなことをトータルな感じで出していければと思います。
番組が始まった当初から、子どもたちに関わる悲惨な事件が世の中に多く、そんなときに元気が出る番組にしよう、子どもが朝、見る番組なんだということを強く念頭におこう、という話をしていました。憂いてばかりいるわけではありませんし、表面化はしてこないことかもしれませんが、そういった気持ちをもって作っています。
あとは、未来っていうのは明るいものなんだということが最初から最後まで伝われば良いなと思っています。たとえば、ひとつのことだけやって10分間、今日はこれで終わっちゃった! っていう日もあって良い。子どもの記憶に残るものを一緒に作っていけたらなと思います」


番組当初から組んできた、放送作家の渡辺 創(わたなべ はじめ)氏は、山陽氏をこう語る。


「食い込む人なんですよ。もっと引いて良いテーマにもぐいぐい入ってくる(笑)。ロケに行っても出先で必ず台本を直しますよね。天候に左右されるだけじゃなく、こちらの思惑が外れることもしょっちゅうですから。名古屋に金のシャチホコを撮りに行ったときも、ちょうど万博で外れててなかったんですよ! あのときはね、どうするか!? って、結局、土産物屋で買ってきた置物のしゃちほこを手の上に乗せて遠近法で撮影しました(笑)。山陽さんの芸に、本来そういう部分があるからできる訳ですよ。伝統芸能をやっているのに、決まった型のなかにはめていくのが好きじゃない。だから企画に合わせたり、都合良く収めれば良いというのはできない人。そこが良いところなんだと思います」


講談の在り方を問いながら、子どもに向ける言葉にも真剣勝負で取り組んできたし、これからもそのつもりだ。


「時代を変えてきたアーティストたちがそうしたように、前衛的な講談をやっていきたいというのがあるから、こうじゃないんじゃないの? っていう点から入るんですよ。他人のことじゃなくて、自分の中に敵を見つけ、それをやっつけていくのがスタイルなので、周りには迷惑かけるかもしれないですけど。たとえばいま目の前にあるものをまず疑問に思うところから入っていく。だから他の人より時間はかかりますが、“ひねった”ものこそ僕がやるべきだと思っています」



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「interview 5 / チーフプロデューサー 坂上浩子氏」




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