“子ども”ということだけを意識しないこと

いくつもあるコーナーのセットと衣装、すべてがひびの氏のデザイン。出演者に応じた衣装が、キャラクターの個性にもつながっている。


「テレビのいままでの慣習を気にしないところはありますね。たとえば、人物の前に物を置くのを嫌ったりすると思うんですが、私はそういうことよりも、平凡とは違う、もっと普通で良いんじゃないかなと考えています。他の仕事では不可能なほど、いろいろ自由にデザインさせてもらっています。
ストライプのスーツなどはまだまだ大人しい方で(笑)。萬斎さんに巨大な風船を着てもらったことがあるんですよ。『汚れっちまった悲しみに』を題材にしたときでした。ご本人もびっくりしていましたね。
子役の出演者がロケで使う、馬や蛙のかぶりものなども、せっかくだから(笑)キャラクターを立てよう、と考えながら作ります。自然の中で普通の衣装をつけて演じると風景に埋まってしまいますから、彼らも衣装に負けない個性をもっていますから、それを引き立てるためにも。
山陽さんの衣装も定着しているように見えるかもしれませんが、実は微妙にバージョンチェンジしてます。Tシャツの柄とか机の上とか…」


「今までセットはできないだろうから、やらないって決めているところがあったんですね。でも実際は衣装とセットって違いがありませんでした。セットも人を包んでいるし、空間も人がいるから成立する訳ですから、衣装を着てるのとソファがあるのは同じ関係性なんですよね。
たとえば、山陽さんのはもう、セットのような衣装になってますけど、セットに力を注いだ分、衣装をさらっといこうかなとか、そういう駆け引きもできます。自分の中で、衣装とセットの境界線がなくなった感じです」


連続するテレビ番組は、これまでになかった仕事。常にいくつものコーナーに渡る膨大な仕事量に追われているが、番組は継続すべきだとも考えている。


ひびのこづえ氏

「心掛けているのは、子ども番組だからといって、“子ども”ということだけを意識しないこと。子どもはこう、っていう考え方はしません。やっぱり、大人にとって楽しくないと一緒に見られませんよね。親が一緒に見て楽しめるような子ども番組であることが、大きな主旨のひとつだと思っています。特に、伝統芸能などの一流のもの、本物の力はすごいですから、衣装やセットも、必要以上に分かりやすくなくて構わない、というつもりでいます。
衣装の仕事では継続することにあまり魅力を感じていませんでしたが、『にほんごであそぼ』は普遍的なものですから、続くと良いなと思うようになりました。
私自身も『こんなきれいな日本語があったんだ』と気付かされることがあります。コーナーごとの企画は変えていくべきでしょうけれども、根底にある日本語っていうものは変わらないし、番組として続けないといけないなって思いますね」



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「interview 3 / 講談師 神田山陽氏」




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