面白いことを思いついたら、突っ走ろうとは思っています

ここでも一般的な豆腐の売り方ではなく、ガラスのショーケースにまるでケーキを並べてあるようなディスプレイを作った。商品を入れるビニールバッグには、昔は鍋を持って豆腐を買いに行ったというイメージで、鍋のイラストが。この袋がほしくて、遠くから買いに来る人もいる。


エントランス
工場のエントランス
伊藤 「次に出店するんだったらニューヨークとかに出してみたいですが、広げ過ぎても管理できないんで、今はとりあえず二子玉川高島屋だけ。店頭販売ということだと、“ジョニー”は、西海岸、ハワイ、香港に飛んでいて、マネキンを置いて試食販売をしたりしてます。

売れないバンドがデビューしてからどうやってメジャーになっていくか、みたいなのと似てますね。なかったところに、新しい感覚の音楽をよくぞもってきたなっていうのと一緒ですよね。それを知っている人たちが応援していって、途中で離れたりするようなファンがいたり…」


直営店で扱っている関連グッズは、今やネット通販でも販売する、人気商品になった。


グッズ
男前豆腐のグッズたち
伊藤 「グッズは、名古屋にある有名なミソカツ屋さんが、店名入りのオリジナルTシャツ作っているのを見て、純粋にやりたいと思ったんですよね。前掛け、キャップ、Tシャツ…デザインは商品からの流用もあるよね」

ロッキー 「“男”っていう大きな丸いシールは、通販用のパーティバーレルっていう発砲スチロールのパッケージと同じです。蓋にマークを入れたいよねって作ったときのシールを、グッズとしても作っています。豆腐以外の、こういうグッズをいろいろ考えるのは楽しい時間ですね」

伊藤 「グッズ制作は、一緒にやりましょうという売り込みも多いですが、受けたのはバンダイのストラップだけですね。海外で販売する時は、前掛けなんかのグッズを先に展開しようかと考えたこともありました。豆腐屋の分かりやすいビジュアルとして。


女性の中にある“男前”っていう感覚が好きだったんです。ヤンキーのセンスと通じるところがありますね。廃れかけている中にグッとくるものを感じるんです。今、作っているものなんかは、男系の言葉をちょっとはずしてみたりしています。パチンコ屋さんにも○○番長、なんてありますよね。あのノリでいくと、またちょっと違ってしまうかな、とも思っているので」


ロッキー 「センスは延長線上にあるけれど、ディテールを追求してばかりいくと酔いすぎる。ちょっと離しながら、そのテイストの匂いがするくらいのほうが、筋にあるコンセプトが伝わりやすいですよね。
豆腐だけじゃなくてその周辺のものを全部やるのは、単純に面白いですね。その場のノリで、面白いじゃんっていうものを形にするのは、今でも楽しい。“オレッチ”でひとりで仕事していると、東京にデザイン事務所を移しても良いんじゃないかと思ったりもしますけどね(笑)」


伊藤氏は、社長室を構えず、4カ所の工場を回っていることが多い日常だ。


伊藤氏
伊藤氏
伊藤 「各工場で失敗とか発見がそれぞれたくさんあって、経験値が上がってくるんです。なんでこういう味になったんだろうっていう状況を分析していくので、開発のスピードが早くなりました。味を均一にするための工夫以上に面白いことができるようになってきています。
直営店というよりも、また別の形で出すことを考えてみたいなとも思っているところです。マーケットシェアを何パーセントとるか、という点では、今の規模だとちょうど良いですね。新商品が出たら、北から南までいっせいに届けられるし、ロッキーが何か新しいもの作ったら、別のものを一斉に引っ込めて投入できる。どっかに頼んででてきて、というよりは早いですよね。

最初の頃は、商品が分かりにくいとか置きづらいとかいろいろ文句を言われましたが、最近は何も言われませんね。もう、無視されてるのかと思うくらいに(笑)。『マブ』の後はまだ迷走していて、なかなか神がおりて来ません。でもまた何か面白いことを思いついたら、突っ走ろうとは思っています。

多角経営みたいなことは考えていません。豆腐料理屋などを思い浮かべるかもしれませんが、最初から最後まで豆腐なんて嫌ですよ! マグロ食わせろ、肉食わせろって思いますもん(笑)。途中で出て来る豆腐がおいしいから感動するんであって、ずーっと豆腐ばっかりじゃあ……。魚屋が夜に開く居酒屋、みたいな経営は好きですけど、他の業種ではいろいろ出尽くしていますよね。僕がこうして新しいことをできたのは、豆腐業界だからなんだと思います。すごくおいしいレストランや居酒屋のようなところで、男前豆腐の豆腐だって言わないでおいしい豆腐として内緒で出してくれるような感覚が好きです。
工場が増えた分、年商は増加するとは思いますが、すでに沖縄から北海道まで届いているので、大幅な変化はしないでしょう。あとはどれだけ僕らが新商品を出していけるか……出来る限り、ずっと作り続けていたいですね」



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