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12カ月のパリ
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 12カ月のパリ
 


第11回
LES ECOLES DU DESIGN (デザイン学校)

 update 2003.08.06
レポート : 浦田 薫 / アート&デザインジャーナリスト 

バカンスも終盤にさしかかる頃には、道を歩きながら、枯葉が舞っていることに気付く。猛暑と騒がれたパリだが、秋も足早に訪れることであろう。
パリジャンが観光客にパリを明け渡していたわずかな間に、今年で100周年を記念したTOUR DE FRANCE(ツール・ドゥ・フランス)も7月末に終わり、セーヌ川沿い3キロメートルが海辺に化した「パリ プラージュ」の背景にも涼しい風が吹き始める。季節の変わり目は着実に進んでいることを実感する。
2003年夏には、戦後から毎年開催され、1968年のクーデターにもひるまず継続してきた国際演劇祭「アヴィニョン フェスティヴァル」がキャンセルになるという、非常にショッキングな出来事にも遭遇した。フランスの財産ともいえる文化・芸術を尊重する精神が崩壊していく様子は、目に余るものがある。しかし、季節の変わり目が一定のサイクルで訪れるように、時代は変化し続けている。状況を素直に受け止める時期なのかもしれない。“芸術とお金”の関係は、資金をなくして芸術を存在させることができないジレンマである。フェスティヴァルの代表者が仏新聞への寄稿文に、「…もはや、我々、芸術界に生きる者たちにとって、先行き不透明な将来に期待することは出来ない。一度焼けた畑を元に戻すには、数年間の活動が予測される」と記していたが、我々が生活する社会を保障するものは、何も無いのかもしれない。だとしたら、何のためにクリエーションは存在するのだろうか?

そんな思いが脳裏をテロップのようにに流れていた頃、VIA(フランス工業家具振興会)で開催された、デザイン・美術・造形大学の卒業生の作品を見に出かけた。
毎年、7月から8月にかけて、フランスの約15校の生徒作品が展示される。1月に開催されるパリ国際家具見本市のVIAブースで紹介される若手デザイナーは、その延長線上にある。仏デザインの支援者でもあるVIAは、世界のあるゆるイベントに積極的な姿勢をみせており、昨今ではフランスデザインを世界に売り込む重役を担っている。

話は前後するが、国立、私立学校により時期は異なるが、学校のカリキュラムを紹介するための「学校開放日」がある。これは、日本の学園祭とは異なり、週末にかけた2日間程度で、学生自ら各々の作品を展示することにより、訪れた一般人やプロフェッショナルとコミュニケーションをとる、いわば、将来の入学生を対象としたカジュアルな説明会で、学校のプロモーション活動でもある。


展示会場風景 工事現場のような演出


展示会案内状と同じオレンジ色で、ガラス面に貼られたタイトル




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