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12カ月のパリ
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 12カ月のパリ
 


第10回
les coulisses du batîment (建物の裏方)

 update 2003.07.09
レポート : 浦田 薫 / アート&デザインジャーナリスト 


日本では、梅雨明け宣言を心待ちにしている頃であろうが、ヨーロッパの今夏は、ことのほか暑い。パリでも30度を越す日が6月から観測されており、湿度が高くない分過ごし易いが、農業国フランスでは干ばつによる被害が恐れられている。しかし、夏至を迎える日には、今年で22回目を記念した恒例のFête de la musique(音楽祭)で盛り上がる。エッフェル塔の照明が日没後10分間隔で点滅する仕掛けに切り替わるなど、多彩な文化イベントに恵まれ、心のオアシスに一時でもみなの気持ちが潤されたことだろう。

一年を通して、最も屋外イベントの多い6月。6月14日(土)には、フランス建築連合会が主催する、第1回「les coulisses du batîment(建物の裏方)」が開催された。フランス全国500箇所の工事現場を一挙に公開するという試みである。

通常、養生シートや鉄柵に囲まれて、進入禁止にヘルメット着用マークのある工事現場の裏方背景は、あまりお目にかけることはできない。作業をする人も大半は男性で、力仕事。一般的に持つイメージは、日常生活と少しかけ離れた遠い存在である。しかし、我々が生活する住宅も含め、着工してから竣工するまでの過程は現場のプログラムが膨大になればなるほど複雑になるのだが、一体、近所の工事現場ではどのような作業が行われているのか、興味を持っても「見学させてください。」と声を掛けづらい。建築連合会が募集して参加を希望した現場は、大半が着工してから数カ月経過ごしており、空間の構造がほぼ出来上がっている状態である。
一日限りのイベントは、フランス全国で1万人ほどの動員数をカウントし大盛況であったそうだ。恒例の行事として今後仲間入りすることは間違いないであろう。


音楽際のメイン会場は、エッフェル塔につながるシャン・ドゥ・マルス公園
FR2のテレビ中継より

後方の数字は、エッフェル塔の点灯式までの時間を秒単位で表示

6月21日午後11時30分に点灯切り替え

Fédération Française du Batîment
(フランス建築連合会)

役割
・ 建築のスポークスマン
・ 建設業界を公共取引や行政機関から守る

主な業務内容
・ 施主、プロフェッショナル間のコミュニケーションを活発化
・ 様々な負担の緩和
・ 雇用者たちのイメージアップのための教育促進
・ トラブル回避
・ 公共事業を増やす

自治体制 96ヶ所
建設企業の疑問に答える
1.決定権を握る側へのアドバイス
2.多方面のエキスパート
3.身近なアシスト

地域体制 26ヶ所
自治体からの政治的な圧力を地域レベルにて指揮する
プロ集団を1つの活動ユニットとして、経験、実力、資材を相互させる

27の職業組合
建設業界は多種多様性であるので、専門分野の分配
各々の組合は独自性を保つ

フランス建築連合会は、国内、ヨーロッパ、世界規模に発展するプロジェクトの開拓、分析、職業指導に関与する。

史跡建造物に新たな息吹を!
個人オーナーの資産運営を和らげるためにも、史跡建造物の確保に力を入れる。
1995年より、市・町などの行政区で実施された改修工事を奨励する賞 “les rubans du patrimoine” を設ける。

フランス建築連合会が提唱する環境とともに建設する6ヶ条
1.生活環境と風景を改善
2.建築の中にやすらぎを強調
3.建材用途のコントロール
4.エネルギーの節約 汚染の削減
5.水の管理と質に取り組む
6.工事現場の質と安全管理



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