ジャパンデザインネットのトップページ
レポート
ミラノサローネ特集 2009
 ジャパンデザインネット
 レポート
 ミラノサローネ特集2009

ミラノサローネ特集2009 トップページ > 上林壮一郎レポート 出展者一覧 / バックナンバー

上林壮一郎 レポーター

上林壮一郎
1967年東京生まれ。1992年千葉大学大学院修了後京セラ株式会社入社。1996年ミラノのドムスアカデミー卒業後1999年までスタジオ アンドレア・ブランジ勤務。1999年スタジオアルキメデス設立。2000年拠点を東京へ移す。プロダクトを中心にジャンルを超えた活動を展開している。

JDN連載コーナー
「上林壮一郎 コンテクストデザイン」
上林壮一郎ミラノサローネレポート



1 / 1


【 1 】

【 2 】

【 3 】

【 4 】

【 5 】

【 6 】
年々過熱気味のミラノサローネも半年くらい寝かせると熟成するかもしれない。 ドムスアカデミーの授業でミラノサローネをはじめて体験して以来もう14年続けて見ていることになる。その間さまざまなかかわり方をしたが、今年は大学*1の授業で学生とともに行くという初めての経験をした。それゆえあまり落ち着いて見ることができなかったが、例年の繰り返しではない、少し違った視点で見ることができた。それに加えて今回は、学生のプロジェクトがあったり、モノづくりの裏側を見学させていただく機会もありむしろそちらのほうが新鮮であった。

近年のサローネはだいぶ整ったイベントとなり、街中での展示エリアがトルトーナなどいくつかの場所に集中したり、あるいはイベントの規模も大きい企業レベルのものが増え、反面システムが固定化しつつあるようにも感じる。 今年は例年以上に日本企業や団体のイベントも非常に多かった。 トルトーナはものすごい人だったが、かえって面白くなくなっていた。 ここ数年では、工房系マルテン・バースのものが面白いと思っていたが今年は残念なことに見逃してしまった。

そんなわけであまり隅々まで見たわけではないがいくつか気になったものをピックアップしたい。

*1 京都造形芸術大学
MOROSO By Tord Boontje

【 1 】【 2 】
これはOSB材の上に依然流行中の植物デコがほどこされたテーブルである。と思ってよく見たら、植物は描かれたものではなく本物の草花が、押し花のようにテーブルに貼りつけられたものだった。上から塗装か何かでコートされ、花の色もそのままだった。装飾の文様をデザインするのではなく、装飾する方法をあるいは装飾とは何か、と問いかけられているようだった。90年代後半に長いことミニマルデザインが続いたように、今世紀に入ってから長いこと装飾トレンドが続いているが、この流行の初期に最初にインパクトを与えたデザイナーの一人がTord BoontjeでありMOROSOとの組み合わせだったことを考えるとなにか確信犯的なものを感じる。

Emmemobili

【 3 】
小さいながらも独自のポジションで技術的にも挑戦的なデザインを続けているメーカーから折衷的なコンセプトが出てきた。左半分は、様式的装飾で右は直線的でシンプルなデザインの家具である。 サローネの後、ミラノ近郊の家具の街Cantuにあるこのメーカーの工場を見学したが、左半分は、伝統的な家具を作る職人に外注し、手彫りで作っているそうだ。現代と伝統、装飾と合理性といった二極の間で揺れる今の感じを表しているかのようだ。現在の装飾復権は、単にミニマルなものの反動ではなく、20世紀初頭アドルフ・ロースが「装飾は罪悪である」といったように、近代デザインが否定してきた装飾を、いわゆる伝統装飾とは違った意味でなんとか再認識しようとするフェーズであるように感じる。実際装飾は、単に機能を邪魔するものでもなければ、上っ面のと揶揄される非本質的なものでもないように思う。先日エジプト展を見てきたが、当時の時代精神を反映するヘレニズムの装飾にも感心した。しかしそれ以上に「シンプルな道具」とタイトルがつけられていた柄杓、紀元前後に家庭でふつうに使われていた雑器であるお玉が、少しきれいにすれば無印良品でもうっていそうなデザインであったことに驚いた。無印は紀元前からあったと。ちょっと話がずれたが、Toord Boontjeのデザインとあわせて装飾の今後を考えさせるデザインだった。

ipodのような家具

【 4 】
メーカー名を記憶していないが、これを見たときにすぐにipod touchを思い出してしまった。なぜだろうと思ったが、コーナーのラウンドや、メタリックフレーム、特に奥にあるシームレスなガラスの映るテレビモニターがそう感じさせるのだろう。桁違いに大量に作られる電子製品の工業デザインと家具の関係が面白かった。

ミラノサローネの舞台裏

【 5 】
今回はEmmemobiliをはじめ、トリエンナーレの会場施工をしている会社やデザインモデルを作っている工房、さらにはミラノ工科大学、ドムスアカデミー、ミケーレ・デ・ルッキの工房などさまざまなモノづくりの現場を訪れた。ミケーレ・デ・ルッキの事務所は、木材がふんだんに使われており、コンパクトながらも充実した工房もありやはり銘木の端材がたくさんあった。これらを見ると、いかにしてミラノサローネという表舞台が造られているかが身を持ってわかる。つくり手としてたいへんわくわくする体験であった。表舞台も良いが裏側も合わせて見るとサローネのバーチャル感が中和される。

Studio DECO

【 6 】
最後に宣伝であるが、今回ミラノサローネには、Milano Designweek Projectと題して8名の学生と同行した。私たちはブログをプラットフォームとするStudio DECOというプロジェクトベースの活動体を作り4つのプロジェクトを行った。若い学生たちは慣れない海外で苦労しながらも、グーグルアース上で開催するバーチャル展覧会への参加者をスカウトするなど、現地の人に取材したり働きかけた。その成果は以下のブログにまとめられているのでそちらを参照いただきたい。 http://www.deco-blog.info

1 / 1
PAGETOP



トップ ・ レポート | 出展者一覧 | バックナンバー |  お問い合わせ