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今和次郎《東京銀座街風俗記録統計図索引」》1925年/工学院大学図書館

時代のスケッチ。人のコレクション。今和次郎 採集講義 展

2012/01/25 09:00

 「今和次郎 採集講義 展」が、1月14日(土)よりパナソニック 汐留ミュージアムにて始まった。
 今和次郎(1888-1973)は、暮らしの様子や街の変化を記録・観察・分析する「考現学」の創始者として知られる一方、建築家・デザイナーでもある。
 本展は、その多岐にわたる活動を一望する初の本格的な回顧展で、工学院大学図書館所蔵のコレクションを中心に、スケッチ、写真、建築模型、デザイン図面など270点が展示されている。

 「考現学」とは考古学をもじった造語であり、今和次郎はその意味を“いまを考え、未来をつくること”と表している。路上観察学会のメンバーでもある建築家 藤森照信氏の編集で1987年に「考現学入門」が発刊され、今和次郎の活動について知った人も多いだろう。

 今和次郎は、民俗学者の柳田國男らが結成した「白茅会」で民家研究に携わり、その後農村の住宅調査や生活改善の仕事も手掛ける。人並み外れた観察眼による研究成果が評価を集めるなか、1927年の関東大震災で今和次郎の活動は転機をむかえた。

 震災で多くを失った東京が復興に向けて変化を遂げるさまを、今和次郎はつぶさに記録した。廃材によって作り出されたバラックの住居を細かに記録することから始まり、観察対象は次第に人間そのものに広がっていく。

 初の組織的考現学の研究となった1925年の「東京銀座風俗記録」では、京橋から新橋までの約1kmの歩道で主に前方からの歩行者を対象に調査をし、時刻による人手の変化、年齢・職業・服装・持ち物の詳細まで100以上の項目が調べ上げられた。採集記録の緻密さはとにかく圧巻で、今和次郎の着眼点と描写力に驚かされる。

 今和次郎は自身についてこう述べている。「私はつくづく、自分はいま現在のこと、人々が働き、楽しみ、いろいろくふうをこらしているさまに興味をもつ性格だったのだと思う。だからこそ震災後の焼け跡に、つぎつぎと仮小屋がたてられ、人々が焼け落ちた過去のなかから新しい生活をたてなおす姿をみて、ほんとうに感動できたのだし、考現―いまを考え、未来をつくることの必要を痛感したのであったと思う。」

 悲しくも、東日本大震災という未曽有の事態におそわれ、いまだ被災地の復興、原発問題に関する情報が錯綜する現在、今和次郎であったら何を捉え、何を採集するだろう。自分自身の“ものの見方・捉え方”を考えさせられる、興味深い展示内容となっている。
(text: Naoko Watanabe)


「今和次郎 採集講義 展」
開催期間 : 2012年1月14日(土)~3月25日(日)
休館日 : 月曜日
時間 : 10:00~18:00(入館は17:30まで)
会場 : パナソニック 汐留ミュージアム
http://panasonic.co.jp/es/museum/

会場では、《東京銀座街風俗記録統計図索引》をマネキンで再現(今和次郎の作品ではありません)

今和次郎・吉田謙吉《銀座のカフェー服装最終》1926年

今和次郎《新時代の生活方向 家庭の各員の生活マヂノ線を防備しませう (2)主人》1940年、 工学院大学図書館所蔵

今純三《自宅アトリエノ窓外風景》 1931年 工学院大学図書館所蔵

《東京場末女人の結髪》1926年/工学院大学図書館 今コレクション

今和次郎、竹内芳太郎《雪国試験農家家屋》1934年/新庄市雪の里情報館

今和次郎《渡邊甚吉亭邸のカトラリー プロトタイプ、石膏模型、完成品一式》1934年頃/早稲田大学理工学術院創造理工学部

セルフポートレイト、パリのカフェにて、1930年/工学院大学図書館 今コレクション

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