虹のチャペル

光の現象で装飾をつくる

デザインコンセプト
担当:久保都島建築設計事務所

恵比寿にある結婚式場のリノベーションプロジェクト。建物は、隣接していた高級会員制サロンの別館としてバブル期に建てられ、その後運営者が代わりながらおもに結婚式場として使われていた。新しいオーナーからは、既存施設の過剰な装飾をなくし、自然光が感じられるデザインが求められていた。

そこで、教会部分では楕円形の平面とハイサイドライトという既存躯体の特徴を最大限生かしながら、光によって装飾をつくることを考えた。ハイサイドライトの窓台を色円環のように色分けして塗装することで、内部空間に入る間接光にほのかに色が加わる。壁面につけたリブ(補強材)に彩色された光があたり、虹のような光が内部空間に立ち現れるのである。

また、コンクリートで作られた楕円形の平面は音響障害が発生しやすい。壁面に取り付けたリブは、音を拡散して音響環境を向上させる目的もあった。虹は聖書で約束の象徴とされている。物質的な装飾ではなく、「光を装飾する」という発想によって現代的なセレモニー空間へと生まれ変わらせた。

施設名 Maison Premiere At.ROBBIN’S
所在地 東京都目黒区中目黒1 Maison Premiere At.ROBBIN’S
用途 結婚式場、レストラン
構造規模 RC造
延床面積 1897.09m2
担当 久保秀朗、都島有美 / 久保都島建築設計事務所
照明計画 杉尾篤
コーディネート 古賀大起
施工 フジタビルメンテナンス
竣工 2015年3月
撮影 藤井浩司 / Nacasa&Partners Inc