玄関を開けるとすぐにキッチンの土間空間が広がる。中央に大きな作業台（収納兼用）を配置し、料理もしやすく家族が集える場所である。土足利用のため、床にビニールシートを採用しメンテナンス性や掃除のしやすさに配慮した。

土間空間の片隅には汚れ物専用のシンクを設置。業務用プラスチック容器を利用し、脚だけをオリジナルで製作した。おもに掃除の際に使用するが、植物の水やりや植え替え、靴を洗う際にも活躍し、浴室や洗面所・キッチンのシンクが清潔に保たれる。

キッチンは基本的にリビング・ダイニングと仕切らずに使用するが、空調の効率を上げる場合や、料理の際の作業音をシャットアウトする場合は、5連の引き戸で完全に仕切ることが可能。リビング・ダイニングは、家具のレイアウトによって多様な使われ方ができるように可能な限り広く設けている。

また、床・壁・建具にシナベニアを使用し、空間を均質な表情にすることで、家具が主役として映えるように配慮した。既存の内装を解体した際、味のある表情の梁が出現したため、そのまま活かすこととした。すべてをキレイに仕上げ過ぎずリノベーションらしさを残すことで空間デザインの特徴とし、他の部屋も同じように展開している。

（※写真最後は、リノベーション前の空間）