二上家

ひらかれた墓石の展示場

デザインコンセプト
担当:中村隆秋/ナカムラデザイン事務所

クライアントは大正14年に創業した墓石を扱う石材店である。
時代の流れと共に墓石に対する考え方が変化していく中で、古来の伝統をその時代に相応しい形で継承していくために様々な活動をしている。その一つがこの展示場である。

はじめにクライアントから提示されたテーマは「静かで厳かな空間を作って欲しい」というものだった。お客様が墓石と向き合うのに相応しい空間を考えた時、枯山水の庭に配された石と墓石の佇まいが重なり、縁側に座り庭石をながめる時の気持ちや空間がテーマに合っていると思い、コンセプトを「墓石の庭」とした。

機能としては、墓石の展示の他に仏具の展示、サンプルの展示、商談やレクチャーができる空間が求められた。それらを庭と向き合う客間として連続させて配置し、間仕切りにより個室感を持たせた。

デザインの手法としては、庭石と墓石の関係から導き出した「見立て」とした。それぞれの空間を構成する要素を、窓、違い棚、床の間といった伝統的な和の形に見立て、それらを現代的でシンボリックにすることで伝統の継承と発展を表現した。また、様々な解釈がされている禅画の丸・三角・四角の形を空間に取り入れることで、禅や仏の精神的な意味を込め、この場に奥深さを創出させたいと考えた。

所在地 埼玉県所沢市若松町1023-3
用途 展示場
床面積 219.59m2
竣工 2015年7月9日
設計 ナカムラデザイン事務所/中村隆秋、飯島靜
照明 モデュレックス MR/森田大介、市川善幾
グラフィック・サイン 廣村デザイン事務所/廣村正彰、衛藤隆弘
施工 シンク・ヴィジョン/岡﨑雅次郎、堀越淳
撮影 ナカサアンドパートナーズ/大谷宗平