“シンプルだけど日々の暮らしを豊かにする大切な道具”
キッチン道具
世界中の人がそうでしょうけど、ドイツ人も便利な道具が大好き、いかに便利にできるか考える人たちなので。台所仕事は道具が大切ですけど、全部を持っている必要はなくて、自分がどんなお料理をするかに合わせて買えば良いと思います。そうすると、やっぱり私は洋風の料理が多いのでドイツのキッチン道具とか増えたかな。
ドイツ人はじゃがいもが主食なので、じゃがいもに関するキッチン道具は色々とあります。皮付きでゆでたじゃがいもに刺して、割らずに皮をむきやすくするものとか。ピーラーにもじゃがいもの芽を取るための刃がついいています。毎日家族ひとりに対して三個くらいむかかなきゃいけないので本当に大変なんですよ(笑)。
あと、ホワイトソースとかカスタードとかつくる時に、ふつうの泡立て機だとソースが絡んでしまうんですけど、WMFの泡立て機だとぜんぜん絡まなないです。泡立て器の先端がシリコンになっていて、お鍋の隅々まで上手に混ぜられる、とてもとても便利な道具なんです。
ドイツのキッチン道具は、ちゃんとつくられているものが多いので耐久性がありますね。良い感じに錆びてきたりもするんですけど、ぜんぜん問題なく長く使えています。
ワイングラス
日常の暮らしの中でただ好きなものを選んでるんですけど、選んでいくとドイツのユーゲント・シュティールという時代のものが好きなんだかと気づかされました。バウハウスのシンプルなデザインも好きですけど、その少し前の時代に作られていた、自然をモチーフに装飾が施されているものが一番好きです。ドイツは白ワインを飲むが主流です、これは伝統的なリースリング(白ワイン用ぶどう品種)のワイン用のグラスですね。みんな百年くらい前のものです。洋なのに和というほどではないけど、どこか日本のデザインに通じるような感じがして好きかな。
お客様をお招きし、テーブルセッティングをしたとき、グラスの存在は大事なんです。テーブルクロスの上にお皿を色々並べただけでは寂しいんです。そこにグラスを並べることをキラっとするものがプラスされ、テーブルが輝きます。グラスは洋服でいえばアクセサリーのような役割があるのです。ドイツでは、お客さまが来るとテーブルに蝋燭を立てて灯したりします、それでまた輝き出すので綺麗ですよね。ちょっと暗いなかで反射して。こういうものをたまに使うと日々が豊かになりますね。
最近は日本でも、ワインの味に合わせてちゃんとグラスを選ぶという時代ですけど、私はグラスを替えるほどはワインのことはわからないので、あまり気にしないで見た目で好きだなっていうグラスを選んで買ってきてます。以前に友人が後片付けのお手伝いをしてくれたときに、ユーゲントシュティールのワイングラスを割られたことがありました。でもそれは仕方がありません。使えばいつかは割れますから。だから割られてもしょうがないと思える値段のものしか買わないことにしています。
ゆで卵入れ
ドイツの朝ごはんは油を使って調理しないので、ベーコンエッグとかスクランブルエッグとかはほとんどつくりません。最近はみんな、平日の朝は忙しいので、週末だけとかになっているかも知れませんが、昔から朝ごはんにはゆで卵と決まっています。なので、ゆで卵入れというのは必ずどこのお家にもあると思います。こうしたプラスチックのものから陶器のものまで色々あります。ぼてっとしたデザインがかわいくて気に入っています(写真のプラスチックのものは東ドイツ製)。
みんなゆで時間にはこだわりがあって面白いですよ、人によって三分とか五分とか。みんな好みがあるので、便利な卵ゆでグッズがドイツにはあるんです。例えば、お鍋の周りに吊るしておくいて、好みのゆで加減になったら引き上げられる卵ホルダーとかもあります。
ドイツの朝食はパンが主食ですが、朝からライ麦パンは少し重いと感じる人も多いので、どちらかといえば小麦粉でつくったブロートヒェンを食べる人が多いです。多くのパン屋さんは朝6時から営業しているので、朝ごはん用に焼きたてのパンを買いに行くものなのです。ブロートヒェンはフランスパンを小さくしたようなまん丸のパンで、外がカリッとして中がふっくらしている。それを半分に切って、バターをたっぷり塗って、とろとろの黄身のゆで卵にちょっとだけ塩をかけて一緒に食べるのが定番です。日本人にとってのたまごがけご飯のような感覚で、みんな大好きなんです。
パンとゆで卵とハム、あとクワルクというフレッシュチーズ、それにフルーツと珈琲、紅茶というより珈琲。シンプルだけどボリュームたっぷりの朝食です。