ミラノサローネ特集 さまざまな企業やデザイナーの出展情報や見どころを紹介

シャルロット・ペリアンの山小屋

シャルロット・ペリアンの山小屋

Cassinaが再現したシャルロット・ペリアンの独創的なプレハブ建築

2012/05/28

JDN編集部

ミラノサローネ期間中、Design Villageでカッシーナ社が展開した、シャルロット・ペリアンの独創的な山小屋が来訪者の注目を集めていた。

1938年に軽量で移動が可能なモバイル型の山荘としてデザインされたが、実際には建てられることのなかった作品だ。

直径約3.8m、高さ約3.9mのコンパクトなスペースに、最大8人を収容することができるよう設計されている。

アルミニウムパネルによる12面体構造の2階建て。丸い小窓が印象的だ。宇宙船のようなデザインは、ペリアンが幼少期に住んでいたクロアチアの遊園地の乗り物からインスピレーションを得たものと言われている。

シャルロット・ペリアンの山小屋
シャルロット・ペリアンの山小屋
山小屋の内部。コンパクトなスペースに、最大8人を収容することができる

内部は狭いスペースながら快適に過ごせる工夫が随所に見られ、大変興味深い。日中は広く使えるように、ベッドは立てて収納できるように設計。大きな荷物を収納する場所も確保されている。キッチンのワークトップはステンレススチール製で、雪をいれておいて溶かすボールや、キャンプストーブのための棚などが組み込まれていた。

山を愛し、スキーや登山をたしなむシャルロット・ペリアンが発案し、ピエール・ジャンヌレとともに開発した。今回、ペリアンのアーカイブに残された図面やスケッチをもとに、ペリアンの娘、ベルネット・ペリアン・バルザックらの協力のもと、カッシーナが初めて実際に建設した貴重な作品だ。

来訪者は山小屋の中に入り体感しながら、ペリアンの空間を楽しんでいた。

Cassina Design Village 2012 開催概要
開催期間 2012年4月17日(火)~22(日)
会場 Design Village at Poltrona Frau 's space in Milan
公式サイト http://www.cassina.com/
シャルロット・ペリアンの山小屋

Charlotte Perriand

Charlotte Perriand(シャルロット・ペリアン)

パリの装飾美術中央連合学校(エコール UCAD)卒業後、1927年サロン・ドートンヌに出品した「屋根裏のバー」が反響を呼び、ル・コルビュジエのアトリエへ入所。これが運命的な出会いとなり、シェーズロングをはじめ、数々の名作をコルビュジエとともに世に送り出した。1937年坂倉準三の誘いで輸出工芸指導の顧問として日本へ招かれ、1年余りの滞在期間に日本各地を柳宗理の案内でまわり、日本の伝統的な暮らしや美意識に深い感銘を受け、その後の作品に強く反映されている。