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ミラノサローネ特集 さまざまな企業やデザイナーの出展情報や見どころを紹介
パオラ・ナヴォーネの幻想的なアートディレクション
パオラ・ナヴォーネが追求する「詩的な都市的居住空間」
2012/05/30
レポーター：篠崎恭子
2012年4月17日～22日の6日間、イタリア・ミラノにて世界最大のインテリアデザインの見本市「Salone Internazionale del Mobile di Milano（サローネ インターナツィオナーレ モービレ ディ ミラノ）」が開催された。世界中からデザインコンシャスな人々が集まり、ひときわ賑やかな光景が広がるミラノサローネは、最新のデザイン、カラー、フォルム、マテリアルに加え、多数のデザインコラボレーションに触れることのできる数少ない機会であり、優れたクリエイターのエッセンスを肌で感じることのできる瞬間でもある。
今回の見本市の中で、インテリアデコレーションという視点から、総合的に空間のディレクションをしていたクリエイターは誰か？ と問われれば、パオラ・ナヴォーネ以外に該当する人物は存在しないであろう。プロダクトにひとつひとつに対する独創性は周知の通りであるが、それだけではなく、そのプロダクトが配置されるスペースを創出し、視覚的なデザイン効果を加えることで、他のクリエイターの表現とは差別化された、リアル、かつ幻想的なアートディレクションを展開している。
彼女は手掛けるブランドすべての定義を明確にしながらも、自身の追及するコンセプトは一貫していたことも今年の注目すべき点だ。「詩的な都市的居住空間」。ホーム、つまり家の役割は、居住者の考えに基づくもので十人十色ではあるが、本来の家が私たちに与えてくれる感覚をインテリアデコレーションで表現している。外界との程よい隔離感、自分のためのポエティックな陶酔…さまざまな社会背景を読み取り、世界にビジュアル化してアウトプットする巧みな表現技法は、パオラ・ナヴォーネの特筆すべきところだ。
- Baxter社は「Nel blu...」をコンセプトとし、ブルーの世界を表現
Baxter
会場となったフィエラ ミラノのHALL5、「デザイン」カテゴリーに広くスペースを構えたイタリアの Baxter（バクスター）社は、トラディショナルなコレクションと新しくデザインされたプロダクトを組み合せ、空間は海に潜ったかのような深いブルーでコーディネートされた。
今回、パオラ・ナヴォーネが提案する「都市的居住空間」は、ブルーのグラデーション「Nel blu …（青の中…）」。選ばれたブルーは、すこし濁ったようなもの、デニムのような深みのあるもの、水のように透明感のあるものと、さまざまなブルーを配することで、落ち着きのある癒しのスペースとなった。ブルジョワでハイエンドのプロダクトは、柔らかいレザーやヌバックの触感を与えられ、巣のように包み込まれるリラックスのひとときを生み出していた。
また、各スペースに飾られるインテリアオブジェひとつひとつが繊細に選び抜かれ、時間の概念を超越した穏やかな気持ちを感じさせた。ライティングやラグ、ウォールペーパーとパオラ・ナヴォーネの世界観を強く打ち出した居住空間の提案だ。
- ベッドルームはダスティなブルーに
- 選び抜かれたインテリアオブジェはオープンシェルフにバランスよくディスプレイ
Gervasoni
そして、同じくHALL5「デザイン」にブースを構えるGervasoni ( ジェルバゾーニ) 社は、既存のコレクション「Gray」「Ghost」「Sweet」に新しいプロダクトを加え、3つのデザインテイストをミックスしたコーディネートでより快適で詩的な「都市的居住空間」をつくりあげた。
パオラ・ナヴォーネが Gervasoni 社のために提案したカラーパレットは、柔らかい印象のホワイト＆ブラックのモノトーン。そこに「Avio」ブルーという、スモーキーな淡いブルーをアクセントカラーにした優しい色調のバランスだ。新しいプロダクトは、イタリア語で雲という意味をもつ「Nuvola」ソファ。「Nuvola」はその名の通り、雲に包まれているかのようなボリューム感たっぷりのカバーリングソファ。グースダウンをポリエステルファイバーでキルティング加工をした伸縮性のあるファブリックで、ソファに新しい立体感を与えていた。
デザインをミックスしたひとつの家のようなコーディネートは、洗練されたリアルホームを想起させるものであった。
- ファブリックのカラースキームも独創的だ
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- 「Nuvola」の包まれるようなボリューム感
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- 「Ghost」のパーソナルソファにはシルバーのファブリック
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- シックな雰囲気のダイニングルーム
Letti&Co.
また、Gervasoni 社のグループ会社である Letti&Co. (レッティ アンド コー) 社は、快適な睡眠を追求するために生まれたファブリックベッドブランド。パオラ・ナヴォーネの詩的な感性から生まれた10の住処、ベッドルームを提案している。主となる3つのベッドルームで構成された会場は、全両翼のウィングが特徴的なターコイズブルーの空間、厚手の伸縮性のキルティングをカバーリングしたベージュのトーン＆トーンの空間。ベッドで過ごす時間をリビングのように楽しむための新しいライフスタイルを感じさせる、ヘッドボードがフォールディングするタイプ。それぞれの空間がトレンドの要素をバランスよく取り入れ、ポエティックな寛ぎへの表現に徹底していた。居住者の日常を長く過ごすこととなる寝室の重要性を唱った提案であった。
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- Letti&Co.社のルーム提案はひとつひとつのシーンがリアルに表現されている
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- ベージュのトーン＆トーンは落ち着いたラグジュアリー感を演出
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- 機能重視のベッドヘッドが可動するタイプもコーディネートで可愛らしい空間に
