ミラノサローネ特集 さまざまな企業やデザイナーの出展情報や見どころを紹介

パナソニック Photosynthesis ─ 光合成 ─

パナソニック Photosynthesis ─ 光合成 ─

建築家・平田晃久氏が手がける、自然界の生態系を表現したパビリオン

2012/04/04

JDN編集部

イタリア・ミラノで開催される世界最大規模の見本市「ミラノサローネ」が、今年も4月17日から22日まで開催される。
今年で5年目の出展となるパナソニック(過去4年はパナソニック電工としての出展)による事前説明会が開催され、今回の詳細が発表された。

建築家・平田晃久氏による、
自然界の生態系を表現したパビリオン

今年の展示コンセプトは「Photosynthesis ─ 光合成 ─」。会場の構成は建築家の平田晃久氏が手掛ける。平田氏は今回、パナソニックの持つエネルギーマネジメントの技術を、植物の光合成になぞらえた空間で提案する。「生態系の根っこを問う、面白いテーマを頂いた。人工物の中だけでなく、自然界も含めた広い視野で、エネルギーの流れについて考えたい」と平田氏。

会場は、市内中心部に位置するミラノ大学。15世紀に建てられた歴史ある建造物だ。その中庭と、中庭を囲む回廊部分「Cortile Farmacia」がパナソニックの会場となる。

中庭には「葉」に見立てた太陽光パネルを立体的に用いて、樹木のようなパビリオンを設置。太陽光パネルでエネルギーを創出し、それらを「実」に見立てた蓄電地に蓄える。蓄えられたエネルギーが根をつたい、「花」に見立てた回廊の照明にまで届けられるイメージだ。

両面発電型パネルで、多角的に光を捉える

従来、平面的に敷き詰めて使用することが多い太陽光パネルは、自然界に例えると地面を覆う芝やコケにあたる。今回は、両面発電型パネルを用いることで立体的に使用し、多角的に光を集める「葉」のような役割をはたす。太陽光パネルを、ポリカーボネートパネルで繋ぐという世界的にも珍しい試みでユニットを作り、それらを組み合わせることで樹木のように自立するパビリオンを構築する。

回廊に配置される照明は、照明デザイナーの岡安泉氏が手掛ける。バルーンの中にLEDデバイスが組み込まれた照明や、有機ELパネルやLED電球を用いた照明など、歴史的な建造物と最新技術とのコントラストが楽しめるだろう。夜には、中庭の太陽光パネルにこれらの照明が映り込み、また異なる表情を見せてくれそうだ。

イメージスケッチ
平田氏による、コンセプトのイメージスケッチ
(c) akihisa hirata architecture office
回廊を照らす
吊り下げられたLED電球が、回廊を照らす
(c) akihisa hirata architecture office
有機EL パネルを用いた照明
有機ELパネルを用いた照明
(c) akihisa hirata architecture office
キャプション
バルーンの中にLEDデバイスが組み込まれた照明
(c) akihisa hirata architecture office

新しいエネルギーコントロールの概念を、自然界の秩序になぞらえる今回のコンセプト。日頃から生態系への視点を作品に取り入れる平田氏が、どのような世界観を提示してくれるのか、4月の本番が待ち遠しい。

■ Panasonic『Photosynthesis ─ 光合成 ─』 開催概要
開催期間 2012年4月16日(月)~22日(日) 9:00~24:00[展示説明12:00~22:00]
2012年4月23日(月)~28日(土) 9:00~21:00
会場 INTERNI LEGACY Università degli Studi di Milano: Cortile Farmacia
住所 via Festa del Perdono, 7 - Milano
ミラノサローネ2012スペシャルサイト:http://panasonic.net/milanosalone/

[INTERNIについて]

ミラノ大学では毎年、雑誌「INTERNI」がミラノ市との共催で毎年テーマを掲げ、企業や建築家、デザイナーが参加する大規模な企画展が開催されている。昨年はザハ・ハディド、インゴマウラー、グエナエル・ニコラ、マリオ・ボッタ、伊藤節&志信らが作品を発表し、注目を集めた。今年は「INTERNI LEGACY」と題し、キャンパス内に8つの会場が設けられる。
INTERNI Legacy:http://www.interni-events.com/the-2012-event

INTERNI

参加クリエイター

平田晃久

平田晃久/Akihisa Hirata

建築家。1971年大阪生まれ。1997年、京都大学大学院工学研究科修了。伊東豊雄建築設計事務所を経て、2005年に平田晃久建築設計事務所を設立。2004年、若手建築家の登竜門であるSDレビュー朝倉賞を<House H>で受賞。
2008年、<masuya(桝屋本店)>でJIA(日本建築家協会)新人賞。2009年、<animated knot>でELLE DECO「Young Japanese Design Talent 2009」を受賞。その他、2011年、「Kaohsiung Maritime Cultural & Popular Music Center International Competition」二等など受賞多数。2012年の「第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」日本館の出品予定作家。