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LEXUS - A JOURNEY OF THE SENSES、フォーリ・サローネでベストの一つに選出
2015年のミラノデザインアワードでベスト・エンターテイニングを受賞
2015/05/20
JDN編集部
Salone del Mobile.Milano(ミラノサローネ国際家具見本市、以降、ミラノサローネ)期間中、ミラノ市内の至るところで新製品発表やブランディングのための展示が開催される。これらはフォーリサローネ(サローネの外)と総称され、ミラノサローネとフォーリサローネの総体はミラノデザインウィークと呼ばれている。
フォーリサローネを代表する地区の一つトルトーナには、世界中の企業やブランドの展示が軒を連ね、大勢の人々で終日お祭りのような賑わいとなる。世界レベルのインスタレーションが無数にあり、一般の人も無料で楽しむことができる。勝負の場としては申し分ないが、審美眼の高いミラノ市民と世界から集まるバイヤーやジャーナリスト等に曝される厳しい場であるとも言える。
そのような状況の中、毎年新たなニュースが生まれ業界の話題となる。2015年のその一つに「LEXUS – A JOURNEY OF THE SENSES」の名前があがった。フォーリサローネを構成するブレラ地区、トルトーナ地区、ランブラーテ地区等が参加する公式コンペティションMilano Design Award(ミラノデザインアワード)のBest Entertaining(ベストエンターテイニング)を受賞したのだ。自動車メーカーの受賞も初だという。
2015年4月14日から19日の6日間で約5万人を動員した、その展示と同会場で発表されたLEXUS DESIGN AWARD 2015の結果を紹介する。
※上写真:空間デザインを担当したPhilippe Nigro(フィリップ・ニグロ)氏
展示タイトルは「LEXUS - A JOURNEY OF THE SENSES」。来場者の五感を最大限に刺激する体験の演出を目指した。空間は、フランスとイタリアを拠点に活動するフィリップ・ニグロ氏によるデザイン。そして、フードデザイナーとしてミシュラン史上最短での三ツ星獲得等の活躍で知られる国際的シェフ米田肇氏を迎えた。
展示空間は、大きく三つのZONEからなる。一つ目は「ENGAGING THE SENSES」。ジュネーブ・モーターショー2015にて発表されたコンセプトカーLF-SAの特別デザインモデルを中心に無数の凸面鏡が配置され、強烈な視覚体験を感じることができる。二つ目は「EXPLORING THE SENSES」。「LEXUS DESIGN AWARD 2015」で72か国・1,171作品からグランプリに選ばれたSense-Wear(Caravan/エマヌエル コルティ氏、イヴァン パラティ氏)を始めとした入賞12作品を展示。三つ目は「EXPERIENCING THE SENSES」で、フィリップ・ニグロ氏と米田肇氏のコラボレーションによる三つのシーンから構成されている。
エントランス部
ZONE 1: ENGAGING THE SENSES
ZONE 2: EXPLORING THE SENSES
ZONE 3: EXPERIENCING THE SENSES
三つのシーンから構成されるZONE 3。
一つ目は、米田肇氏がLEXUSを運転した際に感じた「生命の恵みの雨に包まれながら運転する爽快感と安心感」から生まれたシーン。天井から降る光の粒と雨音が空から雨が降っているような錯覚を引き起こす。その中で“雨の雫”を表現したスパークリングキャンディを口に含むことで、体の中に雨音が響き渡るような感覚を体験する。
二つ目は、木の内部を表現した空間。LEXUSのコックピットにいるような心地よい安心感と解放感、自身が自然と一体になる感覚を演出している。“木の生命”を凝縮した一粒を口に含むと割れたカカオバターの中から新緑の瑞々しい香りが溢れ出る。森の静けさを感じながら、自身が木の幹の中に入りこんだような安らぎと自然の美しさを感じることができる。
五感体験の旅の集大成といえるのが三つ目のシーン。LEXUSのものづくりに対する姿勢への敬意と、ラグジュアリーブランドとしてのおもてなしの精神への共感を米田氏が表現した。暗闇に星が瞬く美しい宇宙を表現したコクーン内で、テーブルに地球の映像が浮かび上がり、地球の恵みである野菜、肉類、魚介類を材料とした温かい‘地球のスープ’を口にする。温かさが体中にゆっくりと広がり、地球の生命の恵みそのものが感じられる。
また、より味わい深い五感の旅の体験を提供するため、フィリップ・ニグロ氏と米田肇氏のコラボレーションにより、特別なメニューが提供される人数限定のエクスクルーシブ・ジャーニーも展開された。
今回のミラノデザインアワードの評に「文字通りに五感全てを含めた360度を楽しませる力」という言葉がある。特に味覚を取り込んだインスターレーションとしては、確かに例が無い程の完成度だったと言えるだろう。
それは、準備段階におけるニグロ氏と米田氏、LEXUSの密なコミュニケーションの賜物のようだ。「この展示を作り上げる過程でLEXUSの工場を視察したのですが、そのものづくりの姿勢には敬服しました」(ニグロ氏)。「この空間で提供すべきゴールはイメージできていました。自分が持っているジグソーパズルのピースから最もはまるものを探せば良かったので、メニューの決定は難しくありませんでした」(米田氏)。展示会場でのインタビューでのこうしたコメントが非常に印象的だった。
Lexus Internationalのオフィシャルサイトでは、各ゾーンを約2分間でバーチャルに体験できるインタラクティブツアーコンテンツを公開している。実際に会場を訪れた来場者のソーシャルメディア上のコメントや会場内の各ゾーンの詳しい情報などもあり、是非、こちらもご覧いただきたい。
- Lexus International公式ホームページ
- http://www.lexus-int.com/jp/lexus-design/design-events/
- Lexus - A Journey of the Senses バーチャルツアー
- http://www.lexus-int.com/jp/lexus-design/virtual-journey/
- LEXUS DESIGN AWARD 2015
- http://www.LexusDesignAward.com/jp/