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60年分のありがとうが詰まった展示、
「誕生60周年記念 ミッフィー展」
ファースト・ミッフィーなど貴重な原画やスケッチ約300点を展示
2015/04/30
JDN編集部
松屋銀座8Fイベントスクエアにて「誕生60周年記念 ミッフィー展」が開催されている。ミッフィーは1955年にオランダの絵本作家ディック・ブルーナ氏によって誕生し、今年で60周年。この展覧会では家族や友だちなど「ミッフィーの大切なもの」をコンセプトに、人気絵本7作品やブルーナ氏の初期作品、原画やスケッチ、制作資料など約300点を観覧することができる。ここでは展示の一部を紹介する。
(※画像のクレジットはすべて、
Illustrations Dick Bruna © copyright Mercis bv,1953-2015 www.miffy.com)
ミッフィーの生みの親
現在87歳のブルーナ氏は10代の頃から画家になる夢を抱き、「寝ても覚めても頭の中は絵のことばかり」という時期には油彩画や水彩画を多く描いていた。自然の風景を写したり、実験的な色彩を施したりと、様々なスタイルに挑戦した。絵本作家としてだけでなく、グラフィックデザイナーとして働いた25年間には2千冊近い本のカバーをデザインしたという。会場ではブルーナ氏の油彩画や水彩画だけでなく、日常生活を垣間見ることができる「朝食メモ」を展示。これは妻のイレーネさんに贈られるコミュニケーションツールで、ブルーナ氏が仕事に行く前にその日の天気やその日の出来事を描いているものだ。
絵本の誕生-『りんごぼうや』第1版、第2版
ブルーナ氏の初期絵本である『りんごぼうや』。本展では1953年出版の第1版、1959年出版の第2版を並べて展示。第1版は現在と違い縦長の判型で、1つのページにイラストと文章の両方を載せている。続く第2版では正方形の型となり、左のページに文章、右のページにイラストが配置されるようになった。第2版のイラストは全て新たに描き直されたもので、輪郭は太い線で縁どられてくっきりとした印象に、色はより鮮やかになった。現在の形式である正方形のブルーナ氏の絵本がこの1冊から始まった。
ミッフィー誕生―『ちいさなうさこちゃん』第1版、第2版
ブルーナ氏が奥さんと生まれたばかりの長男と3人で過ごす暮らしの中で、長男の好きなうさぎの話を絵本にしようと思い立ったことからミッフィーの物語は始まった。
1955年に出版された第1作目の絵本では、現在の姿と違い、ずんぐりと素朴な印象のミッフィーだった。1963年に『りんごぼうや』と同じく正方形の型に描き直された第2版が出版され、現在のミッフィーの印象ができあがった。オランダで発行された翌年には日本でも翻訳・出版。「ミッフィー」は英訳された際に付いた呼び名で、日本では「うさこちゃん」という訳がつけられた。会場では第1版と第2版をあわせて展示。変化した様子を比較して楽しむことができる。