レポート イベント、アートフェス、見本市、新店舗など、編集部目線でレポート
インテリア&ライフスタイルデザインの見本市「MAISON&OBJET ASIA」
第2回目となる「メゾン・エ・オブジェ アジア」をレポート
2015/04/22
JDN編集部
パリで年に2回行われているインテリア&ライフスタイルデザインの国際見本市「MAISON&OBJET(メゾン・エ・オブジェ)」のアジア版、「MAISON&OBJET ASIA(メゾン・エ・オブジェ アジア)」の第2回目が開催された。今回は世界25カ国・地域から300以上の出展ブランドが集まった。会場は昨年同様、アジア最大級のミーティングスペースを備えた、マリーナベイサンズ・エキスポ&コンベンションセンター。
MAISON&OBJET ASIA
会場:マリーナベイサンズ・エキスポ&コンベンションセンター
会期:2015年3月10日~3月13日
会場内は、講演などが行われるステージ、出版物のコーナー、新進デザイナーのブース「Rising Asian Talents」、飲食スペースなどを除くと、出展者の国や地域の属性や、インテリア、照明・寝具・キッチンなどの用途属性などに分かれることなく、各ブースがランダムに配置。この点は昨年を踏襲しており、属性によってエリアを分けていないことで、製品ひとつひとつのデザインをフラットな感覚で見て回れるようになっていた。
上記のように展示されていたが、取材を通して気になった出展者を大雑把に分類すると、アジア圏、ヨーロッパ圏にそれぞれの緩やかな共通項を感じさせた。これはシンガポールを中心としたASEAN地域で、各出展者がどのようなマーケットを対象としているかによる違いかもしれない。ここでは、あえて地域で分類して紹介してきたい。
■ヨーロッパ圏から
大ぶりなインテリアや高級指向の強いキッチン用品などが印象に残った。BtoC向けというよりはBtoB向け、ホテルや飲食店などの商業施設のマーケット開拓を狙っているのだと思われる。ベルギー、ポルトガル、スペインなど、デザイン面においては日本ではブランド力を獲得しているとは言えない地域の台頭を感じた。
■アジア圏から
近年のプロダクトデザイン力の向上をそのままパッケージしたような、勢いを感じさせるメーカーが数多く出展していた。トラディショナルな技法にヒントを得て、現代的なアプローチでデザインを試みているものもあるが、それよりもデザイン先進国をしっかり研究したうえでの基礎力の高いものが多かった。特に照明のデザインに独自性を感じさせる。
■シンガポールと日本をつなぐ
今回、特に注目度が高かったのが、シンガポールと日本のデザインやポップカルチャーをつなぐプラットフォーム的な役割を果たしている「supermama」だろう。シンガポールの現地デザイナーと日本メーカーを結びつけて、新しい「omiyage/お土産(comtemporary giftware)」を制作・販売している。有田焼のキハラとコラボレーションをした、シンガポールの現状と文化をアイコン的にデザインした「Singapore Icons」は、2013年に「PRESIDENT’S DESIGN AWARD」を受賞している。すでにシンガポールでの知名度は抜群。そのほか、「Aspects」「ikue」「Mama Tabi Socks」など、いい意味でキャッチーなコラボレーションアイテムが並んだ。また、佐藤オオキ氏率いるnendoが、industry+ のためにデザインした「Tokyo Tribal Collection ( トーキョー トライバル コレクション )」もお披露目された。アジア各地から集められた無垢材などを用いて、一点一点が職人の手仕事で仕上げたもので、椅子やテーブルなどを中心に展開。一見するとエスニックな要素が強いが、都会的な洗練されたシンプルさがあり人気が高まりそう。
■日本から
確かな技術でブランド力を獲得している、今治タオルや燕三条などのブランドも出展。日本の展示会で見る以上のプレゼンテーションがないのは少々残念。会津の「BITOWA」は海外での展開を積極的に行っていることもあり、伝統的な会津塗の技法を活かしながらも、新しい感性を取り入れたライフタイルブランドを目指した取り組みをしていると感じた。