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小松 誠 展 -2015年 新たな門出-

小松 誠 展 -2015年 新たな門出-

ものづくりに対しての真面目さとユーモア、発想のきっかけを感じる展覧会

2015/01/21

JDN編集部

小松誠は50年以上にわたり、陶磁器を中心に制作活動を続けてきた日本を代表するプロダクトデザイナーだ。磁器の特性を活かし、実用的かつユーモアのある独創的な作品を次々と発表してきた。(上写真:新作「Neo+シリーズ」)

本展では新作「Neo+シリーズ」と過去の全シリーズ、小松氏の発想の源泉である収集品や未発表の試作品などを展示し、小松氏の新たな一面を見ることができる。

「Neo+シリーズ」は、一見すると自立しそうにない形だ。底部にネオジム磁石を埋め込むことで、スチール板に吸着するため自立できる。壁面設置を意図して側面に磁石を埋め込んだものもある。まるで海の生き物のような不思議な形のこのシリーズは花を生けるための花器である。磁器の持つ清廉な白さと、設置場所の意外さと相まって独特の世界観を醸している。大小、長短のバリエーションがあり、小さいものは3種類の形状を持つ。複数を並べることで動植物が群生するような不思議な景観が生まれる。自立させるためのスチール板は四角と丸、マットとミラーと仕上げ無しから選択できる。仕上げ無しは、錆びるのだが、そうした部分も使い手が育てていく要素として楽しんでもらえれば、ということだ。

「同じ焼き物でも、茶器が持つような味わいや渋みといった魅力からは最も遠いところにある素材が磁器だと思います。その特性から、形をシンプルに楽しめるところが気に入っています。また、作り手がすべての価値を作るのではなく、半分を作り手、残りの半分は使い手が作っていくのだと思って制作をしています。今回の新作では、そこがよく表現できたのではないかと思います」と話す小松氏。総展示数が約150点にもおよぶ本展からは、ものづくりに対しての真面目さとユーモア、50年にわたる制作のエネルギーが感じられる。

  • Neo+シリーズ (1)
    Neo+シリーズ
  • Neo+シリーズ (2)
  • 小松 誠 展 -2015年 新たな門出- (7)
  • Neo+シリーズ (3)
    Neo+シリーズ
  • 鉄の画鋲で自由な設置が可能
    鉄の画鋲で自由な設置が可能
  • 小松 誠 展 -2015年 新たな門出- (1)
  • 台座の木とコップに磁石が埋めこまれている
    台座の木とコップに磁石が埋めこまれている
  • メッセージなどを挟むこともできる
    メッセージなどを挟むこともできる
  • 小松 誠 展 -2015年 新たな門出- (2)
  • 小松 誠 展 -2015年 新たな門出- (3)
  • 小松 誠 展 -2015年 新たな門出- (4)
  • 小松 誠 展 -2015年 新たな門出- (5)
  • 代表作である「クリンクル(しわ)シリーズ」は偶然できるシワやヒダの状態をそのまま写し取って器にした作品
    代表作である「クリンクル(しわ)シリーズ」は偶然できるシワやヒダの状態をそのまま写し取って器にした作品
  • 手前はクリンクルシリーズのオブジェ
    手前はクリンクルシリーズのオブジェ
  • 小松 誠 展 -2015年 新たな門出- (6)
  • 小松氏が収集しているスペインで買った“浮き”やベトナムで購入したナイフなど
    小松氏が収集しているスペインで買った“浮き”やベトナムで購入したナイフなど
  • 発想のきっかけとなったものの写真と、発想から生まれた試作品
    発想のきっかけとなったものの写真と、発想から生まれた試作品
  • クリンクルシリーズの鋳込み型
    クリンクルシリーズの鋳込み型
  • 小松 誠 展 -2015年 新たな門出- (7)
  • ギャラリーの地下に続く壁面には特大Neo+シリーズが展示されている
    ギャラリーの地下に続く壁面には特大Neo+シリーズが展示されている
  • 小松誠氏
    小松誠氏

小松 誠 展 -2015年 新たな門出-
http://www.le-bain.com/gallery/lebain/