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Dhaka Art Summit 2014

Dhaka Art Summit 2014

バングラデシュにおける現代アート普及を目的とした南アジア最大のアートイベント

2014/04/09

レポーター:河野 洋一郎

2014年2月7日から2月9日までの3日間、バングラデシュの首都であるダッカのシルポコラ・アカデミーで「Dhaka Art Summit 2014」が開催されました。非営利団体のSamdani Art Foundationが主催となり、バングラデシュにおける現代アート普及を目的とした南アジア最大のアートイベントです。

Dhaka Art Summit会場入り口
Dhaka Art Summit会場入り口

2012年に続き2回目の開催となる今回は、14のソロプロジェクト・南アジア地域のアーティスト250人以上を含む33のギャラリーで構成され、南アジア最大のアートイベントと銘打ってアフガニスタン、インド、モルジブ、ネパール、パキスタン、スリランカ、そして開催国のバングラデシュから多くの芸術作品が出展されました。開催前から街中にはピンクと白のポスターが至る所に貼られ、今回のイベントを大々的に広告していました。

アートイベントの規模を物語るように、オープニングセレモニーではバングラデシュの財務大臣、文化大臣、在バングラデシュ大使館の各国大使等多くのゲストが訪れていました。セレモニー会場では南アジア地域から多くのアーティスト達も出席しており、アートの話や文化の違いなどさまざまな意見を交わしていました。

初日となる2月7日は、招待客やインターネットで個人情報を登録した特別客のみを対象に公開され、2月8日、9日の2日間を一般公開としていました。バングラデシュにおける現代アートの普及が今回のイベント主旨である為、入場料は無料で設定されており、現代アートに触れる機会が少ない多くの市民が訪れ、3日間で5万人以上の来場を記録したそうです。

Mahbubur Rahmanの作品「A Space for Rainbow」。全てはさみで作られている
Mahbubur Rahmanの作品「A Space for Rainbow」。全てはさみで作られている
鮮やかな色使いの大型作品
鮮やかな色使いの大型作品

展示作品の中には、南アジア独特の鮮やかな色使いをした作品や平和を訴えかけているような作品も見られました。また、展示会場にはアーティスト本人が待機しているる場合もあり、来場者と写真撮影や会話を楽しむ光景も見ることができました。なかなか日本では考えられませんが、館内は写真撮影が可能で、カメラを片手に歩き回る来場者の姿も目立ちました。

Rahul Anandによるパフォーマンス「Sound of Silence」
Rahul Anandによるパフォーマンス「Sound of Silence」
Rana Begumの作品。竹かごを連続して用いることで複雑な空間かつ瞑想するための空間を表現している
Rana Begumの作品。竹かごを連続して用いることで複雑な空間かつ瞑想するための空間を表現している

また、今回のイベントに合わせて、バングラデシュのアート分野で活躍した人に贈られるThe Samdani Art Award 2014の表彰式も行われました。受賞者にはロンドンのDelfina Foundation(※)に3か月滞在し、作品の展示やアートについて学ぶ機会が与えられます。今回The Samdani Art Award 2014を受賞したAyesha Sultanaさんは1984年生まれ。パキスタンのLahore National Universityで芸術を学び、バングラデシュを中心に活動をしています。受賞をきっかけに今後の活躍が期待されます。このイベントを通じて将来、バングラデシュから世界的に有名なアーティストが輩出されるかもしれません。

Dhaka Art Summitの作品を通じて、先進国の洗練された雰囲気とは異なる南アジア特有の人の活気や混沌とした雰囲気を感じることができました。また、海外の作品に触れることで日本の素晴らしさを再認識する良い機会になりました。

※Delfina Foundation
芸術文化の交流や新しい創造性を生み出すことを目的としたイギリスの独立非営利財団

Profile

河野 洋一郎

河野 洋一郎/1級建築士

1984年生まれ。立命館大学建築都市デザイン学科卒業後、積水ハウス株式会社へ入社。
2013年より青年海外協力隊・建築隊員としてバングラデシュ政府、住宅・公共事業省、建築局で活動中。