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ワンダーウォール片山正通、ジャスパー・モリソンらも参加 太宰府・竈門神社社務所立て替えプロジェクト

ワンダーウォール片山正通、ジャスパー・モリソンらも参加
太宰府・竈門神社社務所立て替えプロジェクト

片山正通氏がお守り授与所を、ジャスパー・モリソン氏がテラスのベンチを手掛けた太宰府・竈門神社をレポート

2013/07/31

レポーター:浜野百合子(JDN)

1350年の歴史をもつ福岡県太宰府市・宝満宮竈門神社(かまどじんじゃ)の社務所立て替えプロジェクトに、世界的インテリアデザイナーである片山正通氏が参加。2012年12月に竣工した。社務所の展望テラスには、こちらも世界的なプロダクトデザイナーであるジャスパー・モリソン氏が手がけたベンチやチェアが置かれている。

インテリアデザイナーならではのホスピタリティ

桜の色を思わせるピンクの濃淡をもつ天然石を、ランダムな短冊状に組み合わせた壁面
桜の色を思わせるピンクの濃淡をもつ天然石を、ランダムな短冊状に組み合わせた壁面
竈門神社の社紋である桜紋をデザイン要素として取りれた天井
竈門神社の社紋である桜紋をデザイン要素として取りれた天井
お守りのパッケージサイズを規格化して設計した什器
お守りのパッケージサイズを規格化して設計した什器

太宰府鎮護の神様、方除けや吉方参り、厄除けの神社として信仰されている竈門神社は、縁結びの神様としても親しまれており、今回片山氏が手がけたのは社務所の一角に設けられたお札およびお守り授与所のインテリアデザインだ。

竈門神社の大きな鳥居をくぐり、木々に囲まれた石段を踏みしめて上ると、ガラス張りのモダンな社務所が見えてくる。今回特にこだわったという淡いピンク色の壁面が発する柔らかな雰囲気に、早くも参拝者の気持ちが高まっていくのを感じた。吸い込まれるように入った授与所は、曲面を多く用いたかまどのようなデザイン。かまどを中心に人びとが集うコミュニケーションの場所となることをイメージしている。

壁面や床の素材は、木ではなくあえて石を選んだ。壁面には神社の象徴である桜の色を思わせるさまざまなピンク色の天然石を短冊状にカットしてはめ込んでいる。人の思いがそれぞれ異なるように、ひとつひとつの石の大きさはあえてランダムにして、ここを訪れる参拝者の方々の、一人一人異なる思いを表現しているという。天井を見上げると一面に広がる桜模様。竈門神社のご神紋である桜紋をデザイン要素として取り入れ、華やかさ、かわいらしさとともに、品格の感じられる空間に仕上がっている。

お守りの授与所としての機能も秀逸で、一般的な授与所とは一線を画す。すべてのお守りが一望でき、見やすく手に取りやすい什器。お守りのパッケージサイズも規格化した。天候を気にせず建物の中でゆっくりとお守りを選ぶことができるというのも、神社としては珍しい工夫だろう。巫女さんが綺麗にみえる環境までも意識したデザインは、数々のショップを手がけたインテリアデザイナー・片山氏ならでは。

入り口のラウンドしたガラス戸は、庭や本殿にむかって開くようなかたちをイメージしており、授与所がただお守りの受け渡しをする場所というだけでなく、神社全体を包み込むようなものにしたいという狙いが込められている。

入口にも曲面を持たせ、開放的なガラス面で内と外の一体感をうむ
入口にも曲面を持たせ、開放的なガラス面で内と外の一体感をうむ
引き出しの中に収められたカラフルなペンが、ガラス天板からのぞく。絵馬に願いを書くための専用台
引き出しの中に収められたカラフルなペンが、ガラス天板からのぞく。絵馬に願いを書くための専用台

ジャスパー・モリソンが歴史ある神社のチェアをデザイン

プロジェクトの一環として、展望テラスに設置するベンチのデザインの依頼もあり、片山氏の紹介で参加したのがジャスパー・モリソン氏だ。授与所の床に使ったものと同じ御影石でつくられたラブベンチがひとつ、一人用のチェアが3つ、太宰府の街を一望できるテラスに設置されているので、竈門神社を訪れた際はぜひ実際に座ってみてほしい。

石という硬い素材でありながら座り心地が柔らかで、何より回転するという意外性が良い。景色を見ながら好きな方向を向いて座れるし、写真の構図も自由度が増す。非常にスムーズに回転するので、ちょっとした遊具のようでもあり、童心に返って楽しんでしまった。

ベンチの背もたれがついた部分には回転する座面が組み込まれていて、自由に向きを変えることができる
ベンチの背もたれがついた部分には回転する座面が組み込まれていて、自由に向きを変えることができる
石のチェアは動かない先入観があるが、意外にもくるくると回転する驚きと楽しさがある
石のチェアは動かない先入観があるが、意外にもくるくると回転する驚きと楽しさがある

100年後も愛され続ける神社を目指して

1350年の伝統を誇る竈門神社の歴史の中で、新たな空間を提案したこのプロジェクト。これまでの社務所も半世紀以上使われており、今回の建て替えにあたっても100年後を見据えた計画がテーマとなっている。建築は、日本各地の神社建築を数多く手がける種村強氏が担当。そこに片山正通氏、ジャスパー・モリソン氏らが加わり、アートやデザインに先見性のある竈門神社宮司(太宰府天満宮宮司兼任)の理解があってこその実現といえるだろう。ただ伝統を受け継ぐだけでなく、その時代にできる新たなチャレンジを加えて、人々に愛され続ける神社となることを目指している。

取材協力:太宰府天満宮 竈門神社
福岡県太宰府市内山883

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