レポート イベント、アートフェス、見本市、新店舗など、編集部目線でレポート
Ambiente 2013
ドイツ・フランクフルトで開催される世界最大級の国際消費財見本市をレポート
2013/03/21
レポーター:山崎 泰
インテリア・ライフスタイル分野で世界最大と言われる、国際消費財見本市Ambiente(アンビエンテ)。ドイツ・フランクフルトで開催されたこの見本市には2月15日から19日の5日間、世界中からバイヤーや関係者が集まり活発な商談が行われた。難しい経済状況が続く中、81カ国から集まった出展者は、昨年を上回る4,688社。来場者はこちらも昨年より多い14万人以上と、氷点下の季節ながら会場は熱気に溢れ盛り上がりをみせた。
12棟27ホールからなる広大な会場は、展示内容により、家具、インテリア、エクステリア、家庭用品が並ぶ「Living」、ギフトアイテム、ファッション雑貨、玩具などが並ぶ「Giving」、キッチン用品、テーブルウェアが並ぶ「Dining」という3つのカテゴリーに大きく分けられ、さらにビジネス規模や流通、対象市場等によってホールが割り当てられる。中でも「Loft」と名付けられたホール11.0はLiving分野からデザイン感度の高い出展者が並び、見どころのひとつとなっている。
個別ブース以外に、Galleria(ガレリア)では主催者による3つの大きな展示が開催された。「Trends 2013」では、“Blossom field”、“classic ground”、“eccentric domain”、“contrasting sphere”という4つのテーマで、フランクフルトのデザインコンサルタント事務所bora.herke.palmisanoが消費財トレンドを展示。
30周年をむかえた「DESIGN PLUS」は、出展者を対象として優れた革新的なデザインを表彰するアワード。ここでは、会場に散らばる17社による22の受賞作を一覧できて便利だ。AllesiやNormann Copenhagenといった定番ブランドも受賞する中、香港企業が3社と存在感を示した。日本はゼロ。受賞作の多くは、デザインでの差別化、それを取り込んだマーケティング戦略とその具体化により成功している。当たり前のことだが改めてその大切さを思い知らされた。
「German Design Award(ドイツデザインアワード)」は、ドイツデザイン評議会(German Design Council)主催のアワード。日本におけるGマークが近い存在で、工業製品やコミュニケーションデザインまで幅広くこの一年のグッドデザインを網羅。会場内ではプロダクトデザイン部門の受賞作が展示されていた。
商談から離れて、高い天井から入る外光のもと、トレンドを把握し情報交換や休憩する場所として常に賑わっていた。
「Next」は、既にビジネス経験を持つスタートアップ企業のための特別なエリア。ホール11.0(名称:Loft)とGiving分野のギフトや玩具が集まるホール11.1(名称:Young & Trendy)とジュエリーやファッション雑貨が集まるホール9.3(名称:Carat)の三つのホールで展開された。日本からは、ホール11.0に「かみの工作所/テラダモケイ」が出展、大いに注目を集めていた。
「Talents」は、若いデザイナーがプレゼンテーションして、販売機会を開拓したり、来場者から直接のフィードバックを得ることができる場。出展費用は無料。ただし参加のハードルは高い。同様の企画にミラノサローネにおけるサテリテがあるが、Talentsはさらに少数精鋭で世界から30組のみの参加だ。
日本から展示の機会が与えられたのは3組。
インテリア ライフスタイルのTalentsに出展し「Young Designer Award」を受賞したデザインスタジオモノクロ。桜皮を使い、秋田の樺細工、曲げわっぱ、石川のろくろ挽き等の伝統工芸技術を活かしたテーブルウェア「花霞(ハナガスミ)」などを展示。
同じくインテリア ライフスタイルのTalents出展をきっかけに参加したTWOOL。様々な木の実の形をしたステンレス製のドライバーや、木や樹脂、廃材等を使った小物やオブジェなどを展示。手応えある商談が進んだとのこと。
エルデコ日本版が選ぶヤングジャパニーズデザインタレント賞2012受賞のYOTA KAKUDA DESIGNは、既に伊千呂から展開しているデスク「Schola」、ソファーベンチ「Soap」、スタッキングティーテーブル「Lotus Leaf Tea Table」を展示。
来年のAmbienteは日本がパートナーカントリーだ。日本にフォーカスした特別な展示やイベントが予定されており、今年以上に日本からの出展者へ注目が集まることは約束されていると言って良い。日本のものづくり、クリエイティブの素晴らしさをプレゼンし、それに見合う評価とビジネスのリターンを、今年以上に得られるチャンスになるのではないだろうか。今年の見どころをいくつかの観点から振り返ったこの記事が、トレンド把握やデザインの参考になれば幸いだ。