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エントランスホール「Oh Sunny Day!」

Formex 2013 spring

春の雰囲気に包まれた北欧最大のインテリアデザインフェア「Formex」をレポート

2013/02/27

レポーター:服部 暁文

毎年1月と8月にストックホルムで開催され、800以上の企業やデザイナーが出展する北欧最大のインテリアデザインフェア「Formex」。今回のテーマ「FRESH」には、新しい季節を喜ぶ気持ちと、新年を迎えて初詣をする時のような「心新たに頑張るぞ」という想いが込められていて、会場全体からも新しいデザインが訪れてくるような印象を受けました。

テーマカラーは黄色とピンク。ポスターデザインは、ストックホルムのセーデルマルムに事務所を構えるBVDによるもの。Askulのプロダクトデザインなども手掛ける、気鋭のデザインコレクティブです。

エントランスホールで出迎えてくれたディスプレイ「Oh Sunny Day!」は、ストックホルムで人気のスタイリスト、Tina Hellberg(ティナ・ハルベリ)がデザイン。新しい季節を祝福するような色の組み合わせです。上からヘッドフォンが垂らされていて、鳥のさえずりが聞こえてきます。ここで一旦、来場者の期待感を受け止め、広い会場に向かう前に一呼吸おかせてくれる演出でした。

デザイントレンドを4つのカテゴリーに分け、4色のブースで表現
デザイントレンドを4つのカテゴリーに分け、4色のブースで表現

クリエイティブデザイン集団Odd Birdsが展開するイベント兼カフェスペースの「ODDCOLONY」は”春の感覚”のコラージュ。色や音、匂い、食感、触り心地、春の自然が起きだして、私たちに与えてくれる”春の感覚”が、そこかしこに散らばっています。

スペースの入り口には、砂利が敷き詰められ、スポット照明からは木漏れ日のような光がさし、テーブルの上でヒヤシンスやチューリップが柔らかく頷くガーデンカフェのようなエリアもあれば、ラグの上にガーデンチェアが置かれ、蝶が飛んでいそうな温室の中で昼食をとることもでき、いかにも春のピクニックのようです。

一部に砂利が敷き詰められ、屋内でありながら屋外のようなイベント兼カフェスペース「Odd Colony」
一部に砂利が敷き詰められ、屋内でありながら屋外のようなイベント兼カフェスペース「Odd Colony」
ガーデンカフェのようにヒヤシンスやチューリップをディスプレイ
ガーデンカフェのようにヒヤシンスやチューリップをディスプレイ

TREND ZONEでは、スウェーデンファッション委員会(Swedish Fashion Council)が、今春のデザイントレンドを4つのカテゴリーに分け、「黄・赤・白・橙色」の4色で紹介していました。

小さな家がランダムに、でも計画的に置かれていて、この展示会場にあるプロダクトがフラットに、かつ慎重に置かれています。きっちり色分けされているように見えますが、色を跨いでいる家やテーブルがあったり、例えば黄→赤→白という風に、複数の色が同時に見えるように意図されているのがポイント。色が重なり合った風景そのものに、北欧デザインのトレンドを表現しようとしていました。

小さな家の形のブースが並ぶTREND ZONEの展示
小さな家の形のブースが並ぶTREND ZONEの展示
今春のデザイントレンドを紹介
今春のデザイントレンドを紹介

「新しい形」や「新しいコンセプト」を探すというよりも、伝統からの経緯の中に、自分の生きている時代の個性を写し込んで、文化や自然の豊かさを持続していこうという「新しいデザイン」への想いが「FRESH」というテーマを通じて、会場に滲みでているのを感じる事ができました。

協力:dekor/明知直子

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Profile

服部暁文

服部暁文

1983年生まれ。一級建築士。東京工業大学大学院建築学専攻(塚本由晴研究室)修了。2008年東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)入社。駅/エキナカの開発・維持運営に携わる。現在、ストックホルム王立工科大学に在籍。2013年夏からアアルト大学に在籍予定。地域と連携する駅のデザインが研究テーマ。2011年より、いい駅を創るための研究会「エキラボ」(www.eki-labo.org)を主宰。