三宅一生とReality Lab.の研究開発から誕生した照明「陰翳 IN-EI ISSEY MIYAKE」が、イタリア、アルテミデ社との共同開発により実現し、欧米での発売に続き、日本でも販売開始された。

“美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にある”
（谷崎潤一郎『陰翳礼讃』）

日本には古来より、影（陰影）に対する独自の美意識がある。そのことを象徴的に表現したひとりが谷崎潤一郎だ。

陰影の濃淡が空間にもたらす灯りの表情を、未来に目を向けながら現代に生かす探求からうまれた照明シリーズ「陰翳 IN-EI ISSEY MIYAKE」。

ISSEY MIYAKEが服づくりで培ってきた加工技術を応用し、シェードに最適な素材の検討を重ねた結果選ばれたのが、ペットボトル再生繊維100％の不織布（再生ポリエステル素材）だ。

立体造形の数学原理を用い、独自の折りたたむ技術で形作られたランプシェードは、彫像的なフォルムを生むと同時に、十分な堅牢性を持つため内部構造を必要としない。

シワ加工を施すことで、独特の表情と強度をもち、未使用時には平らにたたんで簡単にしまうこともできる。

アルテミデ社との共同開発によるオリジナルのLEDライトが命を吹き込み、光と影が調和した陰翳のあやが空間を満たすだろう。

2013年iFプロダクトデザイン賞金賞受賞