落合勉 | 注目のデザイナー | デザイン情報サイト[JDN]

第60回落合勉（照明デザイナー）

［桐山登士樹の推薦文］

落合勉さんと言えば、すぐに照明デザイナーを連想する。この5年間くらいの間に私の脳裏にしっかり刷り込まれた。自らも明言しているとおり、根っからの照明好きな人である。デザインについてにこやかに話す姿は、まるで少年のようでもある。やはり夢中になれる、楽しんでやれることがデザインには大切なんだと、改めて実感する。最近、落合さんが夢中なのはLEDである。蝋燭、ガス、電気と共に成長してきた照明も新しい時代に突入している。ミラノのフェアを見ていても、デザイン面、技術面の進化、変化の兆しが顕在化しつつある。そうした中、近作の「傾き」は照明の可能性を探る意欲的なデザインである。紹介文では「演出対応指向」と表現しているが、まさに機能とデザインのコラボレーションによる追及である。こうした取り組みが、また新しい概念を生み出す基軸となるという意味で評価したい。

傾き

サグラダ

ブランチ

LEDバッジ

wao

wauhaus

花器シリーズ

Rocco

落合勉 / Tsutomu Ochiai

［略歴］

1948年	愛知県三河生まれ
1970年	渡米、帰国後ヤマギワにて照明を実践
1991年	横浜にてM&Oデザイン事務所スタート、現在に至る

武蔵野美術大学、愛知県立芸術大学非常勤講師
所属団体：(社)照明学会、日本インテリア学会、北欧建築デザイン協会、照明文化研究会（2003.12.01現在）

照明に関する執筆・講演、イベントプロデュースを手がけ、展覧会出展や受賞歴多数。
代表作にはボーンチャイナの「サグラダ」やT5FCLの「ワオ」等の照明、他に家具・テーブルウエアーがある。

いにしえの古灯具から21世紀のあかりLEDまで、あかりが、照明が好きです。その中でも器具（プロダクト）が好きです。
器具にはいろんな素材が使われます。素材との組み合わせを自然に、そして「こんな空間に用いたら！」と、7つのニーズ／社会・市場・業界・企業・個人・未知覚・エリアを考えながらデザインします。

［連絡先］

M&Oデザイン事務所
〒235-0011　横浜市磯子区丸山2-4-2
TEL：045-751-0589　　FAX：045-751-0389
e-mail ：

ABOUT 注目のデザイナーについて

デザインディレクター桐山登士樹が、旬のデザイナーをセレクトする「桐山登士樹が選ぶ注目のデザイナー」。近年の作品や代表作品などをご紹介。

桐山登士樹

株式会社TRUNK代表
デザインディレクター

デザインプロデュース会社・株式会社TRUNK代表取締役、富山県総合デザインセンターデザインディレクター、富山県近代美術館副館長

●桐山登士樹 Twitter　@kiriyama_trunk
●TRUNK LTD.　http://www.trunk-design.jp/

これまでに紹介した注目のデザイナー

傾き（LED椅子）

この“傾き（かぶき）”は、第2世代のLED製品になります。従来の単純点灯製品から、快適生活への演出対応指向を有した製品です。
非常にゆっくり穏やかに点滅調光する間隔3秒から8秒は、心地よく心身をリラックスさせます。
ねじれ傾斜させた薄い板状の3つの部位 ―― 背と座と片アーム脚 ――、その背と座（片脚と一体）にLED（Tridonicモジュール）を入れ、アン・シンメトリーのデザインを追及したソファ。
新素材ネットのKAWASHIMAのbanexだからこそできたこの椅子、歪（いびつ）なフォルムであるが座り心地はなかなか良いです。
（2003年11月26日のインテリアトレンドショーで発表）

Photo : 藤塚光政

サグラダ（ボーンチャイナの照明器具、ペンダントの大小とスタンド）

バルセロナの代表的建築家、アントニオ・ガウディ。
彼の代表作の一つサグラダ・ファミリア教会、この教会建築の基本構造・フニクラを用いてこの美しい作品は誕生しました。
上部のスリット穴一つひとつは職人の手によって開けられたものです。
素材はビスク仕上げのボーンチャイナを使用。
（サグラダstand、pendant￥39,000、サグラダミニ￥35,000-）

Photo : 藤塚光政

ブランチ（小枝という意味）

小枝に付いていた“みの虫”から発想のヒントを得ました。水平でない傾きのある線を各所に取りこんだノックダウン・シリーズ商品となっております。
これは、自然界に育つ木や草花のような“自然なカタチ”をイメージしたからです。
使っているうちに部屋になじんでくるような、そんな暖かみを感じるやさしいあかりです。
（stand￥15,500-、pendant大￥13,500-　小￥11,000-、bracket￥12,500-）

Photo : 藤塚光政

LEDバッジ（愛知万博会場での説明員用バッジとして提案）

愛知万博（愛・地球博）のプレイベントとして、環境に優しい21世紀の主要光源LEDを使った展示会（2003年10月）を企画プロモートしました。
愛知万博のテーマは環境で、LEDのあかり志向と同じです。LEDは21世紀のあかりといわれ、今最も注目されています。
それは省エネで省資源、しかも環境配慮の素材で作られているランプだからです。
このバッジもゆっくりと点滅や調光をします。

wao（世界初のT5FCLインバータ一体型ペンダント）

インバータ内臓型灯体に直径16ミリ管の高周波点灯高効率蛍光ランプをコンパクトにまとめました。
ドーナツ形状なので、穴から天井にあかりが広がります。
（￥39,000-）

Photo : 藤塚光政

wauhaus（和のバウハウスという意）

2003年4月発表したこのwauhausは、2004年1月からその第一弾としてスタンドが発売されます。15,000円（予定価格）
写真は展示会場のものです。

花器シリーズ

20年前にデザインしたCicco（写真3～6）と2002年の秋発表・発売のFicco（写真1・2）、共にスタッキング（積み重ね）可のデザインでまとめました。
使用しないときはスタッキングして、インテリアオブジェとしても活用できればと願いました。シンプルで美しい形態を追求しました。
Ficcoの発売元はニッコー株式会社。