2015/07/08 UPDATE
渋谷ヒカリエの商業施設「ShinQs(シンクス)」に登場した「Switch Room」は、大人の女性が気持ちをリフレッシュするための空間。レストルームの新たなスタンダードが生み出されたこのプロジェクトに活用されたツールがVectorworksです。Switch Roomの誕生にまつわるエピソードと、Vectorworksを活用したデザイナーたちの仕事術に迫ります。
作りたいのはクライアントにわかりやすい図面です
私たちデザイナーにとって図面はあくまで手段。図面自体は最終目的ではありません。したがってVectorworksに求めることも、クライアントにわかりやすい図面を描けることです。その点、Vectorworksが優れているのは図面と絵を一緒に表現できること。展開図であっても色をつければクライアントにもわかりやすくなり、打ち合わせがスムーズです。結果的にプロジェクトがスムーズに進んで、私たちの作業時間も短縮できます。
クライアントが建築のエキスパートとは限りませんので、プロジェクトを円滑に進めるには図面から空間を容易にイメージできることが大切です。ここでVectorworksが便利なのは、一つのファイルで二つの対象とのやりとりができること。クライアントには色つきのファイルでわかりやすくプレゼンをしますが、一方で同じファイルから色を抜き、レイヤを重ねながら詳細に描いていけば施工図にもできる。そんな使い分けが可能です(町田)。
いろんなユーザーの、いろんな使い方を許容する
日々の打合せのたびに、パース画を用意している余裕はありませんから、色やハッチングでわかりやすく見せて、手軽に意思疎通できることはVectorworksの強みといっていいでしょう。むしろプレゼンよりも日々の打ち合わせでこそVectorworksは便利かもしれません。かつては他のソフトを併用しながら、見え方を補完することもありましたが、今ではVectorworksだけで間接照明の表現もできますし、グレーと白のグラデーションで鏡だって表現できます。Vectorworksで出力した図面も十分にカラフルで、理解してもらいやすくなりました。
ちなみに私は、クライアントにとってわかりやすいことを第一にしつつ、図面自体をきれいに描くことも大切にしています。うまく線を使い分けながら一枚の絵として美しく仕上げる。これは自己満足かもしれませんが、やっぱり「あの人の図面はきれい」と言われたい。同じVectorworksを使っていても、描く人によって図面はまったく異なります。私も社会人になりたての頃、先輩の図面を見て「この人の図面は見やすくて美しい」と感動したことがありました。だから私もそうありたいと願っています。
きっといろんなユーザーの、いろんな使い方を許容できることもVectorworksらしさなのでしょう。私自身はシートレイヤをうまく活用して情報を整理整頓するのが好き。このときにレイヤをたくさん重ねたとしてもデータが軽いままなことも、私にとってはVectorworksを愛用する理由のひとつです(吉田)。
Vectorworksを学生時代に手にするのは、もはや常識です
Vectorworksとの付き合いは学生時代からですので、すでに15年くらいになります。最初、学校ではドラフターを使って手描きしていたのですが、同級生たちが続々とVectorworksを使いだして、私も当たり前のように手にしました。1年が経たないうちに周囲のほぼ全員が使っていたような気がします。私も使いだして1~2カ月の間には大体使えるようになっていました。誰に背を押されたわけでもないし、学校の授業で習ったわけでもありませんが、手描きよりも美しく表現できるので、みんなが使うのは必然だったのでしょうね(町田)。
私は大学1年のときに学校の授業でVectorworksを手にしました。その後、学生時代にアルバイトをしていた設計事務所でもVectorworksを使っていたので、その流れで当たり前のように習得しました。やっぱり実務を前にすると、あっという間に操作は覚えられます。それに仕事だと効率を求めるのが当然ですから、ショートカットを使うのはもちろん、便利そうな新機能は積極的に試すようになりますよね(吉田)。
これまで日の目を見なかったレストルームは可能性に満ちている
ShinQsのプロジェクトのおかげで、レストルーム関係のお仕事の引き合いは一気に増えました。ShinQsを手がけて早3年、商業施設を建てるときに「レストルームは渋谷ヒカリエのようなものにしたい」という声をいただくことが増えたと聞きます。たしかに雑誌やテレビで露出して少なからず話題になり、来店されるお客様にも喜んでいただいているようです。私たち自身もここにきて「一つのスタンダードは作れたのかな」と感じつつあります(東中川)。
昨今、クライアントの意識も変わってきて「レストルームをつくる」ではなく「お客様に喜ばれる、何かシンボリックで話題性のある仕掛けをつくりたい」という発注が増えました。これまでデザインの手があまり入っていなかったスペースということもあって、まだまだいろんなことが試せます。ここは文字どおり大きな可能性を秘めた空間。私たちはそう信じています(吉田)。
(以下写真撮影 / ピップス)
Vectorworksの2D/3D基本作図機能を搭載したベーシック汎用CAD「Vectorworks Fundamentals」、建築・BIM支援CAD「Vectorworks Architect」、造園や緑地計画用の「Vectorworks Landmark」、舞台計画やステージ&ライティング計画などに適した「Vectorworks Spotlight」、全ての機能を搭載した最上位版「Vectorworks Designer」、さらに各シリーズには、高品位レンダリングと関連するビジュアライズ機能を搭載した「with Renderworks」シリーズが用意されており、利用用途に合わせてお選びいただけます。
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