名倉達了-Sight-見えない世界を生きてゆくために

「立ち上がる視座」 2016年、垂木、石 「立ち上がる視座」 2016年、垂木、石

個展となる本展のテーマは、「見ること」であり、それは名倉自身の経験から来るものである。2011年の原発事故以降、いわゆるホットスポットという場所で生活し、屋外での制作を余儀なくされていた名倉は、放射性物質への恐怖からそれに関する膨大な情報を漁ったと言える。その経験は「自身の身体的な能力をフル活用して、見えないものを見ようとする・認識しようとする・受け入れることの重要性を痛感」したものだった。そこで今回、震災から5年が経った今、VR(仮想現実)からAR(拡張現実)へと「見ること」の多様化がさらに進んだ高度情報化社会において、「見るということ」を改めて捉え直すことを試みる。

今回の作品では、これまでの仕事を発展させ、建材の石と木を用いて次の展開を探る。名倉は、これまでも尺度としての作品を成立させるために、生活を規定するスケールを持つものとしての建材を用いてきたが、新たな試みとして、本来建物の内部に納められるために目にすることのない構造用合板の節や木目そのものに着目し、見えないものとの関係を築く。

名倉の作品の持つシンプルな形は、謙虚さよりもむしろ、不穏な、落ち着かない印象を与える。それは、作品がある種の過激さと、爆発力を内包しているからに違いない。コンパネや垂木、石材タイルといった建材は、規格サイズという大量消費を助ける、資本主義社会に都合のよい形に押し込められ、歪められた不自然な自然である。それらにもう一度手を加えることで、思索的余白を持つ自由な形へと変化させるという皮肉めいた試みは、新たな視座を導きだすことになるだろう。

【関連イベント】
●オープニングレセプション
日時:2016年10月08日(土) 18:00~

開催期間 2016/10/08(土)~2016/11/06(日)
※イベント会期は終了しました
時間 11:00~19:00
休館日 月曜日
入場料 無料
参加アーティスト 名倉達了
会場
  • gallery COEXIST-TOKYO
  • 東京都江東区木場3-18-17 2F
会場電話番号 03-5809-9949
会場URL http://coexist-tokyo.com
詳細URL http://coexist-tokyo.com/sight_nagura/