2016年8月28日まで東京お台場の特設会場で開催されている「HOUSE VISION」。日本デザインセンターの原研哉さんが企画・構想する、家を未来産業の交差点として見立てるプロジェクトです。展示は2013年に続き2回目。
半年程前に原さんから意気込みを伺いました。現代日本についての問題意識、その強みや可能性の認識、日本から発信することの意味などをお聞きし、大いに共感したことをよく覚えています。
今回のテーマは「CO-DIVIDUAL ── 分かれてつながる/離れてあつまる」。矛盾するような二つの意味を包含する言葉です。会場構成は隈研吾さん。小さな万国博覧会のようでもあり、サーカスのような仮設感もあって、なんだかワクワクする空間になっています。
単に実験的な住宅や新しい技術を見せるのであれば、既にハウスメーカーのモデルルームや各種の見本市があります。そうしたものは技術ありきで現実味に欠けると言われることがありますが、「HOUSE VISION」では建築家やデザイナーの手によって、親しみやリアリティを伴って表現されています。
また、参加する企業は住宅を専門とする企業ばかりではないのですが、それぞれの事業のアドバンスモデルとでも言うべきユニークな展示を、建築の確認申請を済ませた12棟の家として作り上げています。
人口減少や少子高齢、経済停滞などの諸問題へ、世界に先んじて直面する日本だからこそ提示できる近未来。「HOUSE VISION」は、悲観的にならずに、クリエイティビティで楽しさや豊かさのある近未来を描いています。
行かれた方からは「楽しかった」という感想をよく聞きますし、私もそう思いました。プロジェクト全体で表現しようとしていることは非常に複雑かつ深刻なことだと思いますので、こうしたシンプルな言葉で感想が聞かれるということは、一過性ですぐに忘れられてしまうのか、すぐには言語化できないが深く長く残る種になるのか、いずれかということでしょうか。
HOUSE VISION