旭川デザインウィークでトークセッション「国産材家具サミット」に登壇しました

大学時代を旭川で過ごした田根剛さんによるスペシャルインスタレーション

旭川デザインウィークが、2016年6月22日から26日の5日間、旭川家具センターや各メーカー、旭川市内の各会場で開催されました。速報によると来場者は昨年を上回る1万人以上。東京を始めとする日本各地から、家具やデザイン、建築に関わる人々が集まり、大いに盛り上がりました。

忙しい東京では、近くにいるけど会う機会がなかったり、そもそも皆の予定が揃うことが難しいのですが、こうした特別なイベントがあると皆そこに日程を合わせるので文字通り一同に揃うのですね。私も、4月にミラノで会って、次に会ったのがこの旭川という方が複数いました。

オフィシャルパーティの様子、梅雨のない北海道なので6月は爽やかなベストシーズン

オフィシャルパーティの様子、梅雨のない北海道なので6月は爽やかなベストシーズン

ミラノデザインウィークで仕事が終わった後に皆が集まるバー「バルバッソ」ではなく、旭川です。左側に青い衣装に身を包んだ田根さんもいらっしゃいます

ミラノデザインウィークで仕事が終わった後に皆が集まるバー「バルバッソ」ではなく、旭川です。左側に青い衣装に身を包んだ田根さんもいらっしゃいます

旭川デザインウィークの前身である旭川家具産地展は1955年に始まり、61回目となる2015年にその名前を旭川デザインウィークに変更しました。その歴史はミラノサローネよりも古いのですね。

イベント全体の顔の一つが、メイン会場の旭川家具センターで開催されるスペシャルインスタレーションです。今年はパリを拠点に世界で活躍する建築家、田根剛さんが手がけました。旭川の北海道東海大学で建築を学んだ田根さん、オファーを受けて一も二もなく「やります」とお答えになったそうです。

田根さんによるスペシャルインスタレーション。工場を見学し、椅子の部品の美しさや考え抜かれた製作過程に感動し、普段は完成形しか見ることがない椅子の背景を伝えようと、今回のようなインスタレーションになったそうです。中央に並んだ椅子のパーツは発掘された恐竜の骨のようにも見えて、これも目を奪われるところ。

田根さんによるスペシャルインスタレーション。工場を見学し、椅子の部品の美しさや考え抜かれた製作過程に感動し、普段は完成形しか見ることがない椅子の背景を伝えようと、今回のようなインスタレーションになったそうです。中央に並んだ椅子のパーツは発掘された恐竜の骨のようにも見えて、これも目を奪われるところ。

カンディハウスのショールームでは1月のケルンで発表された椅子「TEN」のインスタレーション。「TEN」のデザインはミヒャエル・シュナイダーさん。インスタレーションは松村和典さんが手がけました、松村さんは北海道札幌生まれ

カンディハウスのショールームでは1月のケルンで発表された椅子「TEN」のインスタレーション。「TEN」のデザインはミヒャエル・シュナイダーさん。インスタレーションは松村和典さんが手がけました、松村さんは北海道札幌生まれ

各社の新製品や工場見学という中軸企画だけでなく、世界的な椅子のコレクターである織田憲嗣さんのコレクションの展示や、昨年スペシャルインスタレーションを手がけた北海道出身の藤本壮介さんの建築模型展、AXIS・ELLE DECOR・WIREDの編集長トーク、MIRU DESIGNの青木昭夫さんとジャーナリストの土田貴宏さんによるミラノサローネディスクリプション、さらにはグランピングなど、実に様々なプログラムがありました。今回は2泊3日の日程で訪問したのですが、時間が足りなかったのが残念なところです。

今回初めて訪問した滝澤ベニヤの工場、入り口が踏切です。変色を防ぐため温度が上がらないように丸太に水を撒いています。家具工場だと自然乾燥させていますので、最初から驚きでした

今回初めて訪問した滝澤ベニヤの工場、入り口が踏切です。変色を防ぐため温度が上がらないように丸太に水を撒いています。家具工場だと自然乾燥させていますので、最初から驚きでした

滝澤ベニヤの単板工場にて、丸太の桂剥きです

滝澤ベニヤの単板工場にて、丸太の桂剥きです

滝澤ベニヤの単板工場から合板工場へ移動の途中、丘で有名な美瑛を通過しました

滝澤ベニヤの単板工場から合板工場へ移動の途中、丘で有名な美瑛を通過しました

東神楽グランピング&マルシェにて

東神楽グランピング&マルシェにて

そんな旭川デザインウィークで、「道産子ジャーナリストによるデザイントーク」と「国産材家具サミット」という二つのトークセッションをコーディネートし登壇させていただきました。特に「国産材家具サミット」については、事前に北海道新聞、日本経済新聞にも取り上げていただき、来場者からも熱い反応をいただき、本当にありがたい限りです。

「道産子ジャーナリストによるデザイントーク」では、家具やデザインの観点から世界、日本、地方を見つめ直しました。

「国産材家具サミット」は、国産材を使って家具づくりを行う家具メーカーが、産地やメーカーの垣根を越えて集まり交流するものです。国産家具のほとんどは外材で作られているのですが、森林大国の日本として、もっと国産材を活用しよう、活用したいという思いで、問題を共有・提起しています。ライバルが一同に会すること、それを旭川という産地が受け入れたことに、業界からは驚きの声があがりました。

「道産子ジャーナリストによるデザイントーク」では、デザインジャーナリスト土田貴宏さん、pen編集者の山田泰巨さんと共に登壇しました。皆、道産子です

「道産子ジャーナリストによるデザイントーク」では、デザインジャーナリスト土田貴宏さん、pen編集者の山田泰巨さんと共に登壇しました。皆、道産子(どさんこ、北海道生まれ)です

「国産材家具サミット」の面々です。後列左からワイス・ワイスの佐藤岳利さん、天童木工の永坂英樹さん、飛騨産業の森野敦さん。前列左からカリモク家具の池田令和さん、カンディハウスの染谷哲義さんと山崎

「国産材家具サミット」の面々です。後列左からワイス・ワイスの佐藤岳利さん、天童木工の永坂英樹さん、飛騨産業の森野敦さん。前列左からカリモク家具の池田令和さん、カンディハウスの染谷哲義さんと山崎

「国産材家具サミット」は、9月7日から岐阜県の高山市で始まる「飛騨の家具フェスティバル」で2回目の開催が決まりました。詳細は改めてご案内いたしますが、9月9日金曜の開催予定です。他にも著名デザイナーのトークイベント等も企画されているようで楽しみです。そして、来年の旭川デザインウィークでも実施できると良いなあ、と考えています。

2016飛騨の家具®フェスティバル開催について(予告)

ASAHIKAWA DESIGN WEEK(旭川デザインウィーク)2015

山崎 泰(株式会社JDN 取締役 ブランドディレクター)

山崎 泰 Yasushi Yamazaki

株式会社JDN 取締役/ブランドディレクター

1969年、北海道室蘭生まれ、札幌育ち。北海道大学卒業、心理学専攻。デザインが好きで、空間デザイン最大手の丹青社に入社。1997年に社内ベンチャーとして「JDN」を始める。ゼロから顧客開発し事業成立の中心的な役割を担う。2011年より株式会社JDNの取締役。現在はブランドディレクターとして、コンテストのコンサルティング、取材・執筆、講演なども行う。JAPAN BRAND FESTIVALボードメンバー。趣味はサックス演奏。