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2020年東京五輪のエンブレムは亀倉デザインの正統進化

2020年東京五輪のエンブレムは亀倉デザインの正統進化

2015/07/29 13:54
  • 「東京2020オリンピックエンブレム」 提供:Tokyo 2020、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会「東京2020オリンピックエンブレム」 提供:Tokyo 2020、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
  • 「東京2020パラリンピックエンブレム」 提供:Tokyo 2020、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会「東京2020パラリンピックエンブレム」 提供:Tokyo 2020、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

既にご覧になっていると思うが、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のエンブレムが発表された。黒い長方形、赤い丸、円の輪郭を感じさせる金と銀、余白の白。それら幾何学的なパーツが3×3のグリッドに並び「T」を想起させている。

また、エンブレムのパーツを再配置することよるバリエーションの運用も想定されており、こちらについては東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のホームページにて背景画像や動画として公開されている。

先の発表記者会見では、エンブレム採用作品を制作した佐野研二郎氏から「亀倉雄策の影響」「DNAを継ぐ」という言葉が聞かれた。具体的な影響については、太陽の赤い丸が示されたのだが、その他の要素についても考察してみよう。

亀倉雄策による1964年の東京オリンピック、そしてそのイメージを継承した永井一正氏による1972年の札幌。これら二つと今回のエンブレムを比較すると、見えてくることが三つあった。(ちなみに1998年の長野は別系統であると判断した)

まず色について、1964年は赤い丸と金である。1972年は赤い丸と銀で、銀については「東京オリンピックが金色を使用していたので、銀を用いることにした」*1という永井氏の言葉がある。

2020年の佐野氏のデザインでは、赤い丸と黒、そして金と銀が使われている。赤い丸はキープし、対するメインの色は金→銀→黒と変遷しながら、過去のメインの色をアクセントカラーに採用している。

2020年の特徴に、構成要素を再配置したバリエーションの展開がある。こちらは大判の印刷やデジタルメディアが普及した現代という時代特性ならではとも思えるのだが、実は1972年もユニット単位で可変可能なデザインであった。

1972年は三つの正方形ユニットで構成されており、縦長にも横長にも正方形にも、立方体にも変化させることができた。「流動的でありながらひとつのイメージを築くことができるという近代性をはらむことができたと思う」*2という言葉は永井氏のものだが、2020年のエンブレムの説明としても通用するのではないだろうか。

さいごに、前段とも関連するのだがグリッドシステムの採用があげられる。赤い大きな丸と金文字というシンプルな構成だった1964年をうけて、太陽と雪の結晶と五輪・文字要素という三つの正方形が縦に並ぶレイアウトとした1972年。そして2020年は3×3となった。太陽の大きさはさらに1/3になり、主役ではなく一要素となっている。その赤い丸は、五輪マークの赤い輪の上に配置され、今回のデザインの要である黒い長方形は五輪マークの黒い輪の上に配置されている。強い印象を与える赤い丸という要素を保ちながら、新しさを出す苦労の跡とも見ることができる。

偉大な初代の亀倉デザインがあり、その大事なところを保ちつつ新しい展開を取り入れた二代目の永井デザイン。そして永井デザインの考え方にのっとり現代的に正統し進化したのが、今回の三代目の佐野デザインと言えるのではないだろうか。

参考文献
東京2020大会エンブレム>>TOKYO 2020

過去のオリンピックのエンブレム・マークの一覧

*1、2 札幌冬季オリンピック シンボルマーク | SELECTION | 日本デザインセンター(永井一正氏)

第8回 永井一正 – スポーツとアート – JOC

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