ミラノサローネ 国際家具見本市 2015 | トレンド分析3「エウロルーチェ」

Salone del Mobile.Milano(ミラノサローネ 国際家具見本市)が発表した2015年のトレンド分析を紹介する3回目(全3回)。今回は照明展(エウロルーチェ)から。

まずLED光源の急速な発展に伴い、従来の照明器具の概念を白紙に戻す程の大きな変革期にあることを指摘。LEDの耐久性と機能、新たな形状に対応すべく、メーカーとデザイナー双方に大きな課題を与えている現状から、照明業界は二つの両極端な状況に直面している、という。

一つは、従来の照明器具が持っていたボリュームが大幅に減少することから生まれる新しいデザイン。もう一つは新しい機能を備えた昔ながらのフォルムの再発見。

前者では、薄さ15mmのPMMA(アクリル樹脂)を張ったアーネスト・ジスモンディの「Edgelighting」(Artemide)、ダヴィデ・グロッピの「Fosbury」(Davide Groppi)、ビューロ・ファモスの「Orb」(Modoluce)。

後者では、インゴ・マウラーの白熱灯をモデルにした「Monument for a bulb」(Ingo Maurer)。銀色のホウケイ酸ガラスの球が雲のように集まり内部から光を放つ、若いノルウェー人デザイナー、ダニエル・ライバッケンの「Stochastic」(Luceplan)が、それぞれあげられている。

上記とは別に新たなフォルムへの挑戦では、テーブルに取り付けられるアームタイプのアメデオ・G・カヴァルキーニ「Astolfo」(Lumen Center Italia)、鳥小屋の中に仕掛けた金の卵がライトとなって光るアリック・レヴィの「June Bird」(Danese)をあげて、トレンドである「物語(ナラティブ)」の視点からも読み解けると指摘している。

20世紀初頭のブルジョアが好んだ装飾へのノスタルジーとして、床に付きそうなプリーツ・シェードのガース・ロバーツによる「Fliegenbein」(J.T. Kalmar)。球状の吹きガラスの表面に昔ながらの技法であるバロトン(編み目模様)を施しピンクゴールドの本体が支えるバロヴィエール&トーゾによる「Lincoln」(Barovier&Toso)。ノスタルジックなロマン主義ながら未来的要素を兼ね備えたロス・ラブグローブによる「Chlorophilia」(Artemide)。テニススタイルのジェスチャーでライトが付く仕掛けを持つオド・フィオラヴァンティによる「Volee」(FontanaArte)等をあげている。

※上記テキストはSalone del Mobile.Milanoの報道資料をまとめたものです
※全ての写真はSalone del Mobile.Milanoの提供によるものです

トレンド分析1
トレンド分析2

ミラノサローネ特集2015、ミラノデザインウィーク2015一覧

山崎 泰(株式会社JDN 取締役 ブランドディレクター)

山崎 泰 Yasushi Yamazaki

株式会社JDN 取締役/ブランドディレクター

1969年、北海道室蘭生まれ、札幌育ち。北海道大学卒業、心理学専攻。デザインが好きで、空間デザイン最大手の丹青社に入社。1997年に社内ベンチャーとして「JDN」を始める。ゼロから顧客開発し事業成立の中心的な役割を担う。2011年より株式会社JDNの取締役。現在はブランドディレクターとして、コンテストのコンサルティング、取材・執筆、講演なども行う。JAPAN BRAND FESTIVALボードメンバー。趣味はサックス演奏。