デザインのチカラ

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INTERVIEW 18 SUZUKI ライフスタイルを広げ、新しい“楽しさ”を生むデザイン

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INTERVIEW 18

SUZUKI ライフスタイルを広げ、新しい“楽しさ”を生むデザイン

スズキ株式会社 四輪技術本部 四輪デザイン部 蒲原 充氏(エクステリア課)、渡邉盛弘氏(インテリア課)、日向 隆氏(カラー課)

2014.06.11

新規性のある見た目と、楽しい使い心地

渡邉盛弘 わたなべ もりひろ 四輪技術本部 四輪デザイン部 インテリア課
渡邉盛弘 わたなべ もりひろ
四輪技術本部 四輪デザイン部 インテリア課
1997年入社。ツインのエクステリアデザイン。海外モデルではイグニスのインパネデザイン、XL7、CONCEPT-X(XL7ショーカー)、A-STAR等のインテリアを手がけた。

ハスラーのインテリアデザインを担当した渡邉盛弘氏は、「まず開発段階で、どういったシーンで使われる車なのか、という観点から明確なイメージを打ち出していきました」と話す。

渡邉:サーフィン、釣り、キャンプなど実際にアウトドアで聞き取り調査をしながら、どのような車の使い方をしているのか現状を把握しつつ、具体的な車のオプションやインテリアの考え方を確立していきました。

その結果、男性女性を問わずアウトドアでのアクティビティを生活の一部にしているユーザーの心をつかむことができた。

渡邉:近年、キャンプや山登りを積極的に楽しむ女性が増えてきていて、関連する道具やファッションのデザイン性が高まっている傾向にあります。プロユースなものだけじゃなく、カジュアルでデザイン性の高いものが増えている時代性と、その感性をインテリアデザインに盛り込むことができれば、幅広く受け入れられる車になるにちがいない、と考えました。

開発ではエクステリアが先行して進められる。インテリアを具体的に詰めていくのは、エクステリアが1案に絞られた段階からだ。プレゼンテーションの時には、自分たちが持ち寄って揃えたアウトドア用品をコーディネートして、使用シーンをイメージできる雰囲気作りも行った。

渡邉:ハスラーのインテリアコンセプトは「乗ってワクワク、使って楽しいインテリア」です。車体はワゴンRがベースになっており、販売価格はなるべく抑えて提供する狙いがあったので、できるだけ共通部品を使っていかなければなりません。その中で、より違った形に見えるようデザインするのが課題となりました。見た目の新しさや楽しさと、実際に使って楽しめること。その2つを重視したデザインです。

インテリアの主要な要素であるインパネまわりのデザイン案
インテリアの主要な要素であるインパネまわりのデザイン案

世界観をつなげるインテリア

メーターのデザイン案
メーターのデザイン案
ドアトリムのデザイン案
ドアトリムのデザイン案

キャッチーな顔つきをしているエクステリアを際立たせ、統一された世界観を構築するために、インテリアにはどのようは工夫があるのか。

渡邉:丸目に少し台形の部分がついているヘッドランプの形状を、ベンチレーションの送風口やメーター周り、フロントスピーカーリングにもちりばめています。また、今回新たに装備したグリップコントロール機能などに合わせて、ハスラー専用の特別なスイッチをデザインしました。エンターテイメントの部分では、メーターの工夫も欠かせません。インフォメーションディスプレイには、走行状態や機能をアニメーションで表現しました。アイドリングやエコスコアも、バーの状態で点数を表示して100点になると富士山が出てきたり、オープニングとエンディングには4種類用意して、ユーザーが設定できるようにしたり、楽しさを表現しています。

ハスラーの使用シーンは2人乗車を基本にイメージしていたとのこと。2人分の荷物を積むシーンを想定して、後ろのドアとクオータートリム(注:ドアと荷室の間の内張)、ラゲッジ(注:荷室)の部分が一体感を持ったデザインでまとめている。

渡邉:カラーパネルをパイプでつないだのも、楽しさの演出でありながらあまり道具っぽくなりすぎずに、ポップな感覚や年齢を問わない若さをほどよく印象付ける工夫です。オレンジは、最初の段階からキーカラーとして登場していました。『一番楽しくてワクワクする色ってなんだろう?』とインテリアグループがアイデアスケッチを描いている頃から、共通で思い浮かべていた色でもありますし、外装でもテーマカラーはオレンジでしたから。その辺は全然揺るがなかったので、むしろ常識にとらわれないように、カラーパネルとユーティリティをデザインしていきました。

決定したインテリアデザイン案のスケッチ
決定したインテリアデザイン案のスケッチ

さらになんと、ドアパネルやラゲッジフロアに使用している素材のシボまで、新規にデザインしている。滑り止めの効果とともに使いやすさ、デザイン性を向上させるために、追求し続けたところだ。

渡邉:インテリアとして、ユーティリティだけでなく、使う人自身にとって“自分らしい”使い方をどんどん加えていけるような自由さを引き出せる空間にできること。そこが今回目指した強い思いです。

目的地への移動だけでなく、目的地でいかに車を使って楽しめるか。使い勝手に優れた機能と装備は、デザインでも裏打ちされている。

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1995年の創業以来、デジタルコンテンツのクリエイターの育成・供給、及びコンテンツ制作サービスをコアビジネスとして展開。現在では国内最大規模のクリエイター人材のコンサルティング企業として、企業とクリエイター、双方への支援を行っています。http://www.dsp.co.jp/