建築家の隈研吾さん、東京ミッドタウンの芝生広場で開催中の「つみきのひろば」にて

建築家の隈研吾さん、東京ミッドタウンの芝生広場で開催中の「つみきのひろば」にて

デザインウィーク、最初の一週間は巨匠建築家で始まりました

ブランドディレクター山崎泰の「design week @tokyo」通信(10月15日~10月21日)

いよいよ始まりました東京のデザインウィーク。

開催エリアは広いですし、たくさんのイベントがありますから、何から脚を運んだものやら、という方もいらっしゃるかも知れません。まとめ的な記事は後日として、まずは、それぞれのイベントがどんな感じなのか手短にお伝えしたいと考えています。

申し遅れましたが、JDN編集長の山崎泰と申します。簡単に自己紹介をば。東京デザイナーズウィーク(現・東京デザインウィーク)が“デザイナーズサタデー”という名称で、青山辺りの家具屋さんを回るイベントだった頃に東京へ出てきました。その後、1997年にJDNの立ち上げからメンバーとして携わり、編集長に就任して1年と少しが経ったところです。

さて、前置きはこの位にして、私の活動から一部をご案内させていただきます。

<10月15日~10月21日の訪問先>
・建築家 フランク・ゲーリー展 “I Have an Idea”
・つみきのひろば
・Tokyo Midtown Award 2015 受賞作品展示
・Salone in Roppongi
・内田繁[装飾の今日]展
・id EXHIBITION & +d EXHIBITION
・NIESSING × 名和晃平「 CELL / FORCE 」

建築家 フランク・ゲーリー展 “I Have an Idea”

会期:2月7日まで
会場:21_21 DESIGN SIGHT

家具では段ボールを使った「ウイグル・サイド・チェア」、建築では「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」などで知られる、アメリカを代表する世界的な建築家の展覧会。10月15日にプレビューがあり、ご本人も来日されました。トラックドライバーをしていたこともあるという若い頃や、カレッジで建築家になること勧めてくれたのは陶器の先生だったなどのエピソード。そして、今まである建築のコピーではなく、人間性や人間味ある建築を志向していることなど。プロフィールからはうかがい知れない人柄に触れることができました。

「大事なのは直感を信じることです」と語る、世界的な建築家フランク・ゲーリーさん

「大事なのは直感を信じることです」と語る、世界的な建築家フランク・ゲーリーさん

展覧会ディレクターは建築家の田根剛さん。タイトルにあるように「アイデアの力」に注目し展示を構成しています。昨年はスパイラルでのシチズンのインスタレーションで大好評を博した田根さんですが「建築を見せるのは難しいですね。図面は一つも展示していません。建築の展覧会ではなく、建築家の展覧会です」とのこと。あの特異な形はどのようにしてできたのか。ゲーリーさんの人柄と、思考や技術の裏付けを知ることができます。建築の知識は無しで楽しめます。

田根剛さん「ゲーリーさんの仕事と向き合うだけでなく、会場である安藤忠雄さんの建築とも向き合い、三つ巴でした」

田根剛さん「ゲーリーさんの仕事と向き合うだけでなく、会場である安藤忠雄さんの建築とも向き合い、三つ巴でした」

つみきのひろば

会期:11月3日まで
会場:東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン 芝生広場

森林保全団体more treesとコラボして、国産木材のつみきをつなげてデザインを楽しむ広場をディレクションしたのは隈研吾さん。子どもの頃からつみきが好きで「夢が結実した」そうです。近作の富山市ガラス美術館でも地元の杉材を大胆にインテリアに活用していますが、材料としての木に注目しだしたのはバブル時代の後からで20年以上になるということです。「(つみきは)60年以上におよぶ隈さんの一番長いプロジェクトですね?」と聞くと笑顔でお応えいただきました。

日本の職人の仕事の丁寧さに触れて、つみきの"かんざし"を指す隈研吾さん

日本の職人の仕事の丁寧さに触れて、つみきの”かんざし”を指す隈研吾さん

Tokyo Midtown Award 2015 受賞作品展示

会期:2015年11月8日まで
会場:東京ミッドタウン プラザ B1F

今年で8回目になるアートとデザインのコンペティション。10月16日にその結果が発表されました。過去のデザインコンペ入賞作からは「富士山グラス」「歌舞伎フェイスパック」などが商品化されてヒットしています。今回のデザインコンペのグランプリは吉田貴紀さんと栗原里菜さんによる「ことはね」。吉田さんは「39才でラストチャンスだったので、とても嬉しい」とのこと。ミッドタウンアワードは若手を応援する趣旨で年齢制限があるのです。

デザインコンペでグランプリを獲得した、吉田貴紀さんと栗原里菜さんによる「ことはね」

デザインコンペでグランプリを獲得した、吉田貴紀さんと栗原里菜さんによる「ことはね」

Salone in Roppongi

会期:2015年10月25日まで
会場:東京ミッドタウン アトリウム

建築家の中村拓志さんが、イタリアの高級時計メーカーOFFICINE PANERAI社の独自の世界観を空間演出しています。今年のミラノではロッサーナオルランディを会場にして潜水艦そのものを展示していたパネライですが、東京では潜水艦で潜るイメージを体験できるインスターレーションです。

中村拓志さんによるインスタレーション。中に入ると真っ暗な中で潜水艦が潜水する様子を疑似体験できる

中村拓志さんによるインスタレーション。中に入ると真っ暗な中で潜水艦が潜水する様子を疑似体験できる

内田繁[装飾の今日]展

会期:11月1日まで
会場:ギャラリー ル・ベイン

渋谷での用事が終わり銀座への移動の途中、初日に寄ることができました。JDN立ち上げの頃からお世話になっているデザイナー内田繁さんの個展です。フライヤーを見て「青森!?」と思いました。会場には湘南と福島もありました。林久美子さん、鈴木マサルさんとのコラボもあります。

ギャラリー ル・ベインのオープンスペース、まず「aomori」テーブルと対峙する

ギャラリー ル・ベインのオープンスペース、まず「aomori」テーブルと対峙する

id EXHIBITION & +d EXHIBITION

会期:11月15日まで
会場:KONCENT 蔵前本店

銀座の用事を終えて蔵前へ。アッシュコンセプトの名児耶秀美さんと新進デザインユニットid(イド)のトークと展示。idは小栗誠詞さんと大木陽平さんのユニットで、プロダクトとインテリアというそれぞれの専門を持ちながら二人で切磋琢磨しているそうです。展示されているデザインプロセスがとても面白いです。大木さんは2007年のコクヨデザインアワードに「yajirushi」を出品し優秀賞を受賞しているので、現場でお会いしているのですね、と昔話に。

idがデザインしてアッシュコンセプトで製品化されたBirdie paper knifeのできるまで、「鳥すぎ」という書き込み

idがデザインしてアッシュコンセプトで製品化されたBirdie paper knifeのできるまで、「鳥すぎ」という書き込み

NIESSING × 名和晃平「 CELL / FORCE 」

会期:2015年11月23日まで
会場:ニーシング東京
モダンなジュエリーブランド、ニーシング。今年は彫刻家の名和晃平さんとコラボレーション。シンプルモダンなジュエリーだからこそ、名和さんの世界と双方が引き立って見えます。ディレクションは昨年に続き岡田栄造さん。岡田さんとは、彼がイデーにいる時からなので長いお付き合いで、dezain.netという彼の運営するホームページを良く見ていました。

名和晃平さんの展示によるニーシングのジュエリー

名和晃平さんの展示によるニーシングのジュエリー

デザインウィークが終わるまで不定期で連載します。
どうぞご期待ください!