デコラ通信 デコラヴィータ

  特集 デコラヴィータ最新事例紹介
  東京高等学校トイレ改修計画

 トイレをくつろぎの場に −私立東京高等学校の場合−

2F女子トイレ
2F女子トイレ(手洗いとブースゾーンを分けずに一体とした空間)

2F女子トイレ平面図

2F女子トイレ"
2F女子トイレ(奥は壁一面に鏡のある身だしなみコーナー)

2F女子トイレ入口
2F女子トイレ入口

 ●学校トイレ改修の動き
この4、5年、学校トイレ改修の動きが活発です。戦後すぐ建てられた校舎の老朽化が進行している上、財源難等で校舎全体の改築が進まない。そんな中、トイレは特に、経年変化で汚れや臭気で限界に近く、トイレに行けない子どもたちが多いことが背景にあります。我々の事務所は、この13年公衆トイレを中心に設計をしてきましたが、先に教育環境研究所との共同で行った、都下吉祥寺の藤村女子中学校のトイレ改修がきっかけとなり、学校トイレの改修が増えてきました。改修の理由は大なり小なり前述した通りです。その際共通して行ってきたことは、子どもたちに参加してもらって改修を実施したことです。長年設計の立場でトイレづくりに参加してきて思うことは、快適さ維持の原動力はマナーとメンテナンスだということです。利用者や清掃者のトイレに対する関心の高さがその決め手となります。子どもたちに新しくなるトイレづくりに設計段階から加わってもらうこと。そしてトイレに関する歴史や文化等まで学習しうんちくを高め、人間とトイレの関係を知ること。清掃のしかたを教わること等々を通じ、子どもたちに自分たちのトイレだとの意識を育んでおくことが、竣工直後のみ快適という従来のパターンから脱する最良の方法だと思えるからです。

4F女子トイレ
4F女子トイレ
4F入口
4F入口


●東京高等学校の場合
東京高等学校は、大田区多摩川の土手近く、東京では珍しい程自然環境の恵まれた場所にあります。男女共学で、生徒数1084名を客し、築26年の校舎に、トイレは全部で16ヶ所あり、今回は本館の4ヶ所が改修対象です。
設計を始めるにあたり、生徒へのアンケート調査を実施しました。又生徒会の委員や教師から直接意見を聞きました。私共が印象深かったのはもっと広くてきれいにしてほしいという多くの意見の外に、「僕ウンコマンといわれる程(下痢症か)だが、生徒のトイレでは落着かないため、使用禁止されている職員トイレを使う」とか、「基本的にトイレがきれいということは、みんながうれしいこと。それだけでも気分がかわる」といった声でした。トイレを多感な子どもたちの心のやすらぎの場にしたい。設計者としてまず第一に考えたことでした。又、清掃は専門業者に委託して行っていますが、床の水洗い清掃が可能な構造にしてほしい。つまり短時間で、快適さの持続できるトイレを要望されました。
ところで、与えられたトイレのスペースは、いつものことながら狭い場所です。一方、心のやすらぎの場として必要なものは、動作にあった適切な広さ、自然光を含めた明るさ、自然の風をベースとした換気、素材や色彩やデザイン等々で、五感を快く解放させる場とすることです。改修のポイントとした項目は、

・便器数を見直し、ムダを省き、スペースのゆとりを見出すこと。
・既存の窓を有効に利用すること。
・2階は女子専用トイレ、3階は男子優先トイレとして、他階の狭苦しさを、解消できる場にすること。
・自我意識の強いこの時期、男子女子共ひそかに要望の強い鏡を、多く設置すること。
・清掃性や耐久性の高い建材を使用するが、色彩や部分的に木を使うことで、くつろぎ感を造り出すこと。
・清掃性を考慮し、水洗いができるよう、床防水や、適正な排水口を設置した上、耐水性のある床材を使用すること。

等々です。
竣工後の私共の楽しみは、子どもたちの心から喜んでいる顔をみることです。日頃目立つ子も目立たない子もそうであるということは、トイレが一人一人にとっての居場所になったと確信でき、私共を逆に元気にしてくれます。

設計事務所ゴンドラ
小林純子
浅井佐知子


・設計・プロデュース
 教育環境研究所+設計事務所ゴンドラ
・施工
 プラス株式会社
・取材協力
 東京高等学校
 (東京都大田区鵜の木2-39-1)

4F男子収納
4F男子収納(移動時の荷物が置ける)
3F男子トイレ清掃用具入
3F男子トイレ清掃用具入
 
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デコラ通信 デコラ通信 March 2001 No.35

 


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