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秋の東京デザイン特集2010
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HIRAMEKI DESIGN×FINLAND 東京でフィンランドデザインの“ひらめき”に出合う

  文・写真 / 若井浩子 Hiroko WAKAI

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 2010年10月29日から11月7日までの10日間、リビングデザインセンターOZONE(東京・新宿)で開催された「HIRAMEKI DESIGN×FINLAND」。フィンランドの海外展示会としては過去最大規模となるこのデザインの企画展には、同国のデザイン界で活躍する64組のデザイナー、企業が参加し、現在の“フィンランドデザイン”の魅力をさまざまな角度から伝えていた。


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リビングデザインセンターOZONE3階パークタワーホール内の展示。
【1】リビングデザインセンターOZONE3階パークタワーホール内の展示。

ハッリ・コスキネンとイルッカ・スッパネンがキュレーション

ディスカッションを重ね、約1年でアイデアを形に

 企画展のキュレーションを担当したのはハッリ・コスキネンイルッカ・スッパネン。ともに90年代から活躍し、現在のフィンランドデザインを代表する存在でもあるふたりは、この10数年、企業との協働も含めて日本との関係を深めてきた。

「今回の企画展は規模がとても大きくて、作品も大量なら構成材料も大量だし、関わる機関も人も多くて、立場も意見もさまざま。キュレーションを引き受けてから1年、僕とイルッカは、それぞれ忙しい中、会うのはもちろん、電話、携帯、メール、パソコン、あらゆる手段を活用してディスカッションしてきた。会場にも足を運び、関係者の意見を調整して……。振り返ると、完成したこと自体が驚き。本当にホッとしているよ」とハッリ・コスキネン(以下HK)。

「僕とハッリは学生時代からお互いをよく知っているからやりやすかった。2000年に僕たちはフィンランドのヤングデザイナー・オブザイヤーを受賞して一緒に企画展をやっているし、2006年にもヘルシンキのデザインミュージアムで企画展があった。そして今回の展示。つまり何年かおきに一緒に展覧会をやっていて、規模も回を追う毎に巨大化してる(笑)。次は2015年か2016年かな? その時はマッチ箱くらいの小さな企画展がいいな」とイルッカ・スッパネン(以下IS)。

来場者層を考えた5つの展示空間

 今回の展示は、64組の出展者の作品を1階のギャラリー1とギャラリー3、3階のOZONEプラザ、パークタワーホールとホワイエの5つの空間を使って紹介する構成。出展者をカテゴライズした6色(「緑」は持続可能性、「灰色」は産業、「青」はフィンランド、「ネオン」は挑戦、「黒」はアイコン、「白」は照明、といった具合)が、各空間に共存する展示についてイルッカ・スッパネンはこう語る。
「色分けは主催者、デザインフォーラムのアイデアで、出展者の特長づけを狙ったもの。僕たちは、各空間の広さや来場者層を考えて5空間のグルーピングを提案した。例えばギャラリー1にはエージェントが求めるような作品、ギャラリー3には企業をターゲットにした作品、というふうにね」。


1990年以降、そしてこれからのフィンランドデザイン

 また本展では、1階アトリウムにフェンニア賞(Fennia Prize)受賞作品が、7階のリビングデザインギャラリーにアールト大学芸術デザイン学校の学生の作品が展示、紹介された。 「このふたつは全体の展示とは性格が違うものだから別個に紹介した。今回、僕はデザイナーとして出展していないけれどフェンニア賞のコーナーに僕の「Fireplace(暖炉)」が、ハッリの「Active Subwoofer(音響システム)」と一緒に展示されているよ」(IS)。

 このフェンニア賞の前身は、1990年にプロ・フィニッシュ・デザイン賞として創設された産業デザイン賞で、フィンランドの中小企業がデザインによって製品の品質と付加価値、国際競争力を高めることに貢献してきたものだ。  実は1990年はフィンランドにとってさまざまな政策を転換した節目の年でもある。旧ソ連の崩壊でヨーロッパ全体が混乱する中、経済的打撃の大きかったフィンランドは、二度目の戦後を迎えるような気構えで大量生産、大量消費で支えられる従来の工業型社会から知的産業社会へと転換を図っている。教育改革や、情報化社会へのインフラ改革が進められる中、デザイン産業もまた知的産業の一翼として振興策が打ち出されてきた。
 キュレーターのふたりをはじめ、今回来日した多くのデザイナーや企業は、そんな時代の転換の中で実力をつけ、力を発揮してきたわけだ。

「確かに大量生産、大量消費で世の中を支えることは、現実的でなくなりつつある。ただ、デザインと消費の関係を考えるとどうしても矛盾を抱えることになる。より良いデザインには、より多くを売るという目的もあるのだから。でも、だからこそ素材や回収性も含めて社会的なデザインを目指さなくてはと思っている」(IS)。

「デザインする上で大切なのは、素材に敬意を持ち、本来の特性を生かし、少しも無駄にしないという姿勢だと思う。フィンランドにはこうした伝統が生きているし、実は、そこが日本のデザインとも共通するところだと思う」(HK)。

 そんなデザインの奥行きも、ふたりが展示を通して伝えたかったテーマに違いない。

次ページに続く 


キュレーターのイルッカ・スッパネン(左)とハッリ・コスキネン(右)。
【2】キュレーターのイルッカ・スッパネン(左)とハッリ・コスキネン(右)。

会場で展示解説するハッリ・コスキネン。真剣そのもの。
【3】会場で展示解説するハッリ・コスキネン。真剣そのもの。

解説中もくつろいだ表情のイルッカ・スッパネン。
【4】解説中もくつろいだ表情のイルッカ・スッパネン。

エージェント向けの展示の1階のギャラリー1。
【5】エージェント向けの展示の1階のギャラリー1。

企業向けの展示の1階のギャラリー3。
【6】企業向けの展示の1階のギャラリー3。

1階アトリウムに設けられたフェンニア賞受賞作品の展示コーナー。
【7】1階アトリウムに設けられたフェンニア賞受賞作品の展示コーナー。

フェンニア賞は1990年の創設以来、中小企業の成長を支援してきた。
【8】フェンニア賞は1990年の創設以来、中小企業の成長を支援してきた。


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