Wacom | ワコムのツールが見せてくれる、未来につながるクリエイティブの地平 | 目指すのは、社会に貢献し、未来につながるデザイン

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ワコムのツールが見せてくれる、未来につながるクリエイティブの地平 (3)

ワコムのツールが見せてくれる、
未来につながるクリエイティブの地平

2014/10/29 UPDATE

デザインファームは得てして専門特化しがちだが、ノザイナーの手掛ける領域は極めて幅広く、そのことが彼らの独自性を際立たせている。どのような経緯でデザイナー集団としての懐の深さを獲得してきたのか、話を聞いてみる。

Vol.3目指すのは、社会に貢献し、未来につながるデザイン

太刀川氏 : キャリアをスタートさせた頃は、ただ世界最高のデザイナーになりたいと考えていました（笑）。じゃあ世界最高になるためには、様々な領域におけるデザインのスキルを高める必要があるだろうと。そんな理由で、もともと建築を専門分野としていた僕は、グラフィックやプロダクト、ブランディングに足を踏み入れていきました。すると、色々なことに気付けたんです。一つの領域でデザイン力を高めていくと、全く異なる領域で仕事をする時にも技術や理論が応用できる。しかも、複数の領域にブリッジをかけられるような知識と技術を持ったデザイナーは意外にも少ない。自分の軸となる領域を一つずつ増やしていったことによって、僕自身の独自性も強まってきたし、実に多くのプロジェクトに対応できるようにもなり、その結果、僕らしか提案できないユニークな発想が生まれるようにもなったんです。

横浜スタジアム至近の事務所にて

全てのプロジェクトにおいて彼らが目標とするのは「社会に資するデザイン」。その真意について、太刀川氏が説明する。

太刀川氏 : 優れたデザインとは果たしてどういうものでしょう。それは決して、単に線が美しいとか、なんだか格好いいということではありません。突きつめて考えれば、全ての線や面、色に機能と意味があり、どこまでも無駄をそぎ落とした形が良いデザインだと思うんです。さらに言えば、これまでデザインが機能していなかった分野において、デザインを入れていくということが、優れたアウトプットの条件にもなってくる。つまり僕たちはデザインが機能するあり方そのものを構築したいのであって、それが実現できればきっと未来の生活が変わることになるはずなんです。結局、ノザイナーの目指すところは、社会に貢献するデザインということになるんですよね。

スタッフの皆さんと共に

驚くような発想を次々と形にしてきたノザイナー。彼らの創造性を顕著に示した一つの好例が、Mozilla Japanのオフィス内にあるファクトリースペースの空間デザインだ。ポリカーボネイトパネルを多用したことで、目的に応じた空間構成が可能。床面には物流パレットを採用し、OAのケーブル類を容易に出し入れすることができる。こうした機能面に加え、空間設計のコンセプト自体が極めて斬新だった。企業がビジネスの根幹に据えるオープンソースの理念を具現化し、全ての図面や制作プロセスをネット上で広く公開したのだ。このことによって誰でもモダンで機能美溢れるオフィスの構築ができるようにし、Mozilla Japanの理念を全く新しい形で広めることに成功。単なる空間設計に終わらない、社会に資するデザインを実現したのである。

斬新なアイデアが形となるまでにはクライアントとの密なコミュニケーションが肝要だ。時には方向性を大きく修正し、より良いアウトプットを完成させるため、意見を戦わせなくてはならない。クライアントの信頼を得るためには、どのようなアクションが求められるのか、最後に聞いてみた。

太刀川氏 : 仮に、最初のミーティングでデザインの方向性にズレがあった場合、率直に意見を述べなければ先には進めません。そこで大切なのは、一生懸命あなたたちのことを考えていますという姿勢を示すことです。そして、ベストな選択をしていただくために一緒に考えましょうという意思を伝えます。つまり、共に解決策を見出していくという共通認識があれば、自由に意見をぶつけられることができ、プロジェクトがベストな方向に進んでいきます。

どんなプロジェクトにおいても、未来につながるデザインをアウトプットしていきたいと強調する太刀川氏。研ぎ澄まされたアイデアと高度なスキル、豊かなコミュニケーション能力を武器に、彼らが今後、どのような未来を見せてくれるのか、興味は尽きない。

[ NOSIGNER プロフィール ]
NOSIGNERはソーシャルデザインイノベーション（社会や未来に良い変化をもたらすためのデザイン）を生み出すことを理念としたデザインファーム。大きな問いを見出し、社会に必要な美しい関係性を設計できるチームでありたい。そんな思いから、「見えないものをデザインする人」を意味する「NOSIGNER」として、デザイン活動を続けている。グラフィック・プロダクト・空間などのデザイン領域にとらわれず、ビジネスモデルの構築やブランディングを含めた総合的なデザインを手がける。また、災害時に役立つデザインを共有する「OLIVE PROJECT」をはじめとしたオープンソースデザイン、地場産業、科学技術、教育、サステナビリティ、文化交流などの分野で社会に意義のあるイノベーションを生み出している。
http://www.nosigner.com/