桑沢デザイン研究所・浅葉克己所長が考える新時代のデザイン教育

桑沢デザイン研究所・浅葉克己所長が考える
新時代のデザイン教育

2014/04/02 UPDATE

Vol.1桑沢デザイン研究所の理念を伝える新しいロゴ

1954年に設立以来、社会に資するデザイン教育を軸に、膨大な数のデザイナー、クリエイター、アーティストを輩出し続けてきた桑沢デザイン研究所。他とは一線を画す教育を実現できた理由の1つが、常に時代のダイナミズムを読み取り、創造性、社会貢献のスピリットに溢れた所長のリーダーシップにある。1987年には、ビジネスとデザインを高次元で融合させ、日本の工業デザイン界に大いなる貢献を果たした榮久庵憲司氏が4代目所長に就任。2008年には9代目所長として国際的に活躍するインテリアデザイナー、内田繁氏が就任するなど、常に時代の先鞭をつける才能が同研究所の教育を牽引した。

桑沢デザイン研究所10代目所長 浅葉克己氏
桑沢デザイン研究所10代目所長 浅葉克己氏

そして2011年、10代目所長に就任したのが浅葉克己氏である。ゼロ年代を終え、新たなタームに入ろうとするデザイン界でどのような教育が求められるのか。浅葉氏は言う。

「世界で通用するような多くの天才を育てる必要がありますね。そのために、創立時の理念でもあった実験工房としてのスタンスにもう一度立ち返りたい。たえず何かを探し、新しいものを受け入れ、講義やゼミの内容も変化していく。その中で学生達は手を動かし続け、まだ世の中にない“かたち”を探り、見つけ出していく。これまでにないものを作り出すためには、毎日、変化することが大切だし、いつの時代も革新的なコミュニケーションを続けているのが桑沢ですから」

浅葉氏が手がけた桑沢デザイン研究所の新しいロゴ
浅葉氏が手がけた桑沢デザイン研究所の新しいロゴ
パウル・クレーの「造形思考」をテーマとしたミサワホームのイメージポスター「バウハウス/パウル・クレー」(2011)
パウル・クレーの「造形思考」をテーマとしたミサワホームのイメージポスター「バウハウス/パウル・クレー」(2011)

こうした思想のもと、浅葉氏が所長就任直後に着手したのが、長年使用されてきたロゴの変更だ。世界中のタイポグラフィを深く追求し、文字への愛情をさまざまな形で表現してきた浅葉氏らしい表情のロゴである。その制作プロセスには実に意外なキッカケがあったという。

「ちょうどパウル・クレーのポスターを作ろうとしていた時だった。僕が手を動かし始めると、自然に渦を巻いたんです。パウル・クレーの何かが僕に降りてきて、自然に出てきた形と言えるかな。その時見えた渦を桑沢のロゴにも生かしました」

かつて、ドイツで生まれたバウハウスの影響を多大に受け、桑沢デザイン研究所は設立された。パウル・クレーは世界的潮流ともなった革新的な造形教育に大きく寄与し、バウハウスで教鞭もとった偉大な画家だ。新しい時代に向かって動き出そうとする桑沢デザイン研究所と、世界的なデザインの潮流をリードし続けたバウハウス。この両者のスピリットが浅葉氏の中で混ざり合い、新しいロゴとして表出したのだ。

「僕はロゴを書いていく内に、自然と姿を現した日本人のラテン文字のようにも感じました。欧米人には理解しづらいかもしれないけど、これしかないと思えたんです。時代に合った桑沢流の教育を進めていくなかで、大切なのは建築、ファッション、グラフィック、映像と全てのジャンルにおいて、欧米文化と日本の伝統を融合させた新しい形を見出すこと。これが“桑沢流”だと僕は思っています。新しいロゴはそんな思想が形として現れたもの。まさに、これからの桑沢にふさわしい形だと思います」

専門学校 桑沢デザイン研究所

INDEX

桑沢デザイン研究所の理念を伝える新しいロゴ

VOL.1

桑沢デザイン研究所の理念を伝える新しいロゴ

国際的な交流がデザイナーの質を高める

VOL.2

国際的な交流がデザイナーの質を高める

集中し、継続し、変化することが大切

VOL.3

集中し、継続し、変化することが大切

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