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この特別公開講座は、桑沢デザイン塾の開塾記念として開催されました。桑沢デザイン研究所同窓会の主催で行われるこの桑沢デザイン塾は、会長である内田繁氏が中心になり、同窓会が一年ほど前から計画を進めていたものですが、その内容は一デザイン教育機関の枠を超えた新しいデザイン教育の試みとして位置づけられています。150名の定員を大幅に上回る参加者で一杯になった会場は、次代のデザインを担う学生、若手デザイナーなどを中心に、活気あふれるものでした。ここでは、2時間余にわたる講座の概要をお伝えいたします。
20世紀とデザイン
「デザインとは何か?社会の中での役割は?何を目指すのか?」という内田氏の問題提起から講座は始まりました。20世紀はどのような時代で、20世紀という時代にデザインはどのように関わってきたのでしょうか。
「20世紀は、全世界に通用する普遍的(ユニバーサル)なものを作る必要があった時代」だと柏木氏はとらえています。その考えを展開したデザイン例として‘ユニバース’というサンセリフのフォントをあげました。氏はデザインを、近代以降の権利と義務による契約社会成立の過程で、私たちの新しい生活環境を作ろうとしてきた営みとして位置づけます。ですが、その社会の枠組みそのものが壊れつつあるのが現在だとしています。
ユニバーサルデザインの誕生
柏木氏は、20世紀のデザインを考えるキーワードである「ユニバーサル」概念の発生過程について、資本主義経済の自由競争が引き起こした経済不況から、説明を始めました。
「絶望的な貧困を生んだ不況の再来を回避するために、経済をコントロール・計画する必要が唱えられ、誰もが幸福に健康に暮らすための環境づくりとして都市計画が始まりました。計画の対象は都市から住宅、身の回りの品々にまで拡がっていきます…。‘誰でも’‘どこでも’同じものを手にするようになれば全世界が幸福になるだろう、というのが経済を計画することの意図です。」
T型フォードや計量カップを使う料理などに代表される標準化・規格化の考え方が、近代デザインの根幹にあるということ、社会の必要から生まれた考え方であることなど「20世紀はユニバーサルデザインが大きな成果をあげた時代だった」とふりかえります。
マージナル(周縁)を棚上げした
'80のポストモダン
一方、ユニバーサル化は標準的なもの、標準的でないものという概念を生みだしました。ユニバーサルでないもの、標準や規格の範疇に入らない存在、これら「マージナル(周縁)」な存在を現代社会の中でどう位置づけるか、この問題が今なお未解決であることを柏木氏は指摘します。
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