監修の梶本久夫氏が「‘デザインと医学’の結びつきを考えた人」と紹介し、講座第一回目のゲストとして登場した川崎和男氏。
「‘バリアフリー=ユニバーサルデザイン’ではない」と言い、まず既存のユニバーサルデザインの考え方を再検討することから始めます。
ユニバーサルデザインの7原則 必要なその再吟味
2台のパワーブック*1を使ったプレゼンテーションによって講座を進める川崎氏。アメリカで考えられた「ユニバーサルデザインの7原則」を、日本での時代認識に従って再吟味する必要があると言います。たとえば、‘安全性’と‘安心性’は異なり、安全であっても安心できないモノはダメだということ。省体力性が高すぎると体力が錬磨されないこと。狭い日本では空間確保というよりむしろ省スペース性が重要だということなどです。
「情報は公開すべきでない」
とりわけ川崎氏が強調するのは、情報の扱いについてです。現在におけるプライバシーとは、「オックスフォード辞典では‘他人から観察されず、自分の情報の安全性を守り、自分にとって益となる情報だけを発信できること’と定義されている」。「デザイナーは自分の情報を、公開すべきときまで公表しなくてかまわない」と言います。
「理解するということは誤解するということだ」と続け、メディアの情報にだまされないようにインテリジェンスを磨くことが、現在の日本人に欠けていると警鐘を鳴らします。
共に生きるためのデザイン
これまでモノは企業の利益や個人の欲望のためにデザインされてきました。川崎氏は、そこから脱却して‘共生=ともいき、Living together’*2のために、‘やさしい=控えめで目立たない’デザインをしなければならないと主張します。
また、健常者と同じようには身体を動かせない人もいる。このことを、デザイナーは想定し「身の回りの一つ一つのものを素材から形態まで、謙虚に真剣に見なければならない」と話します。
「その理想主義を実現するために、デザイナーはきれいごとを言って情報を隠してかまわない。この企みこそがデザインの源になる」と川崎氏。
3つの革命
質疑応答になって川崎氏は、講座タイトルにある3つの革命とは、‘遺伝子革命’‘電磁波革命’‘光重合革命’*3だと明かします。「現在のデザイナーはこのような技術について知らな過ぎる。デザインは‘総合’科学であり、そこで大切なのは美と義と善」。
デザイナーは‘分化’科学であるエンジニアリングに勝たなければならない、エンジニアに対して‘目印(sign)’をつけるという、上の立場に立たなければならないと言います。
技術を統合する視野を持って「企業社会をデザインで一度破壊し立て直す」という、デザイナーを奮い立たせる目標を示しました。
最後に梶本氏が以降のスケジュールを含めて講座を振り返り、「デザインとは社会の問題を発見し、総合的なアプローチにより解決すること」とまとめて終了しました。
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梶本久夫氏

川崎和男氏*1;アップル社のノートPC、川崎氏はアップル社PC「マッキントッシュ」のエヴァンジリスト(伝導者)としても著名。
*2;「‘共生(きょうせい)’という言葉は生物学の上では死語で、片方だけが利益を得る片利(へんり)共生しかありえない。そんな言葉よりも浄土宗などにある‘ともいき’(共に生きる)の方が良い」 ── 川崎氏
*3;「重合」一種類の分子(単量体)が二個以上結合して、分子量の大きい新たな分子を生成する反応。
「光重合」光の照射によって起る付加重合。単量体が光を吸収して重合が開始される場合と、共存する他の分子が光を吸収して、そのエネルギーの移動により重合が誘起される場合とがある。
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