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ユニバーサルデザイン先進国の一つであるアメリカの日常生活の場面では、どのようにユニバーサルデザインが実施されているのか。エドワード・スタインフェルド氏は、その事例について理念を含めて説明します。
ユニバーサルデザインの定義
「ユニバーサルデザインが絶対的なものだとは言いたくない。ユニバーサルデザインは一つのプロセスであり、一つの考え方であり、一つの仕事。つまりデザインに対する態度であることを強調しておきたい」と切り出すスタインフェルド氏。
続いて、氏が考える‘ユニバーサルデザインの4つの鍵’を説明します。
●不自由のある人にもない人にも役に立たなければならない
例えば、上下の高さ調節が可能な洗面台。これは、大人も子供もそれぞれが使いやすい高さで使うことができます。また、洗面台下部のキャビネットの扉が両開きで外に開くようになっていて、車いすの人が使う場合、そのまま足下を収納して洗面台に苦労せずに近づくことができます。
●外観のデザインは機能と同様に重要である
魅力的なデザインでないと、人は買わないし、使いません。特別なものという印象を与えない、普通にきれいな外観であることが大切です。先に挙げた洗面台もそうです。
ハンドルが太く、カーブがついてカラフルなデザインの歯ブラシ。人間工学的に適切で、かつ医療的っぽくない製品例です。
●革新のプロセスを理解しなければならない
新しい商品がユーザーに採用されるのは難しく、適切なマーケティングが必要です。革新的であっても、従来のユーザーの暮らしや考えに合ったものから採用されるのです。
例えば1990年代のインターネットのように、急激に使用が増えるtake off pointがあります。そのポイントは、ユニバーサルデザインの場合、高齢化が進んだときです。それに従って、デザインのやり方も変えなければならないでしょう。
●人の態度や考えを変えなければならない
例として、stairless bus(階段なしのバス)を挙げます。従来のリフト付きのバスは、乗り降りに時間がかかって皆いらいらするし、車いすの人だけに便利なものでした。しかしこのバスは、車体が低くなっていて、車いすの人だけでなく、足の不自由な人やベビーカーを持ったお母さんなどにも便利で、乗り降りに時間もかかりません。このことによって、障害者は普通の人と同じ時間をかけて乗れるという考えが生まれ、両者の社会的な距離が縮まります。
日常生活とユニバーサルデザイン
実際の生活の中で、ユニバーサルデザインと言われる製品が‘ユニバーサルデザインたりうる’理由として、スタインフェルド氏は次の点をあげます。
● 全ての人にどのような影響を与えるのか理解しやすい
● 家族にどのような影響があるのか示すことができる
● 家庭や職場、公共の場に与える影響を示すことができる
● 生活のどの部分も無視されることがない
たとえば、職場の部屋の入り口にあるサイン。書体が大きく、コントラストがはっきりし、エンボス加工が施されています。点字の部分には、手首を曲げずに読めるように45°の角度が付き、音声ガイドもあります。「このようなサインなら、どんな人でも認識できます」。
また、紙幣の例もあげられました。ブラジルでは字が読めない人のために、色によって紙幣を区別しています ── 残念ながら発色が悪く混乱しやすいのですが ── 。一方、カナダでは手で触って読めるお札が開発されています。「このような試みは、目の不自由な人や観光客にも役に立つでしょう」。
世界最大の博物館といわれるスミソニアン博物館では、インターネットに地図や回覧のヒントで構成されたビジターズガイドを公開しています。これによってルートを事前に調べることができ、効率の良い訪問プランを立てることができます。「このようなシステムが、日本の新宿駅にもあれば便利だろう」とスタインフェルド氏。
スミソニアン博物館「Planning Your Smithsonian Visit」 http://www.si.edu/activity/planvis/
「ユニバーサルデザインは、一日中、そして人生を通して、役に立たなければならない。老人や障害者だけでなくすべての人に影響を与えるデザインでなければならない」。最後にスタインフェルド氏がまとめます。
その後の質疑応答では、各デザイン事例について活発な質問が飛びます。「今日の講義から様々なきっかけやイメージが生まれるだろう」。監修の梶本氏の言葉で講座は終了しました。
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