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桑沢デザイン塾・レポート

桑沢デザイン塾 <風土と建築> 2
象設計集団代表

富田玲子

気持ちのよい建築

 

風と土

講座開始にあたり「部屋がクーラーで寒くありませんか」と富田氏。教室の窓をすべて開け「今現在の東京の温度、湿度がこれです」と言います。
肌で感じる「風」と鼻で匂いを感じる「土」は、土地特有のもの。まず、それを体感することから始めます。

東京に林立する高層ビル。首都を象徴するこれらの建造物へ、氏は異義を投げかけます。「どこも作りが一緒で窓は はめ殺し、数字を見ない限り、今自分が何階にいるのかも分からない」「このような記号的な場所では、風も土も感じられない」。


気持ちのよい建築

東南アジアの建築に注目している氏。たとえば、家が木よりも低い作りになってる台風通過地域など、現地で見てきた様々な建築をスライドで説明します。
象設計集団が設計に加わった沖縄県名護市庁舎では「亜熱帯でいかに涼しく過ごすか」をテーマにデザインしたと振り返ります。
このように土地ごとの風と土を感じ、周りと心地よい関係を保って生活できる建築デザインが「気持ちのよい」建築だと言います。


木のぬくもり

「コンクリートに窮屈な硬さを感じている」。自身の建築では、壁や床、棚など人々の手が触れる部分には積極的に木を用いていると富田氏。木が持つやわらかさは、訪れた人の心を和ませ気持ちよくする。そうしたことが「人間は自然とともに生きている存在であることを再認識させてくれる」と言います。


裸足の子供達

すでに20年ほど前のプロジェクトとなる埼玉県宮代町笠原小学校。設計段階から「校内を裸足で過ごす」ことを念頭に作られた学校です。青々とした芝生を元気に裸足で走り回り、足をきれいに洗って教室に戻る子供達。草と木、土の持つそれぞれのやわらかさを、足の裏から直に感じることができます。足洗い場では子供達のちょっとした井戸端会議が開かれ、建築デザイン一つでコミュニケーションも広がることを教えてくれます。

この笠原小学校の設計テーマの一つが「いかに光をとり込むか」。そのために、南側に向かって大きく開いた造りを目指し、半屋外廊下を南側に配置し窓を足元まで拡げるなどして、光が溢れる開放的な空間を作りだすことができました。
昨年建てられた広島市矢野南小学校も、同じような考え方をもとにデザインされました。教室と校庭の間に設けられたサンデッキは、常に子供たちであふれ、陽のあたる憩いの場となっています。


9月末とはいえ、いまだ暑さが残る東京。講座の最後には開け放った窓から蒸し暑さが漂ってきていました。「これが昔からある江戸の空気ですね」と富田氏。この言葉に氏の「風と土」への姿勢が強く感じられました。

CLEAR.GIF 富田玲子氏
富田玲子氏
東京生まれ。1963年、東京大学工学部建築学科修士課程修了。この間、桑沢デザイン研究所インテリアデザイン科に学ぶ。'63年、U研究所(吉阪隆正主宰)に勤務し、八王子市セミナーハウス設計などに参加。'71年より象設計集団に所属し、現在代表をつとめる。
主な設計参加に、沖縄県名護市庁舎('78)、愛知県小牧市立図書館('78)、埼玉県宮代町進修館('80)、埼玉県宮代町笠原小学校('82)、世田谷用賀プロムナード('86)、台湾冬山河修景計画('88)、大分県由布院美術館('90)、帯広市森の交流館('95)、広島市立矢野南小学校('98)など



富田玲子氏
窓を開けてクーラーを止め、今の渋谷の空気を感じながら








富田玲子氏










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