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桑沢デザイン塾・レポート

桑沢デザイン塾 連続塾<風土と建築> 4
アトリエ・モビル代表
ペンシルベニア大学大学院建築科客員教授
早稲田大学講師


丸山欣也

木と緑と素材

 
日本のみならずアメリカでも建築を教える丸山氏。アメリカ先住民であるイロクァイ族から学んだ、自然と建築の関わり方を軸に語る「風土と建築」シリーズ最終回です。


イロクァイ族に学ぶ

イロクァイ族の歴史は古く、それは風土とのかかわり関わりの歴史でもあります。イロクァイ族を含め多くのネイティブアメリカンが住んでいた地域は広大な原野で、およそ「ものがある」場所とは言い難い環境です。そこでは、必然的にその地域にあるものを最大限に利用した生活が求められます。その結果、木や土を用いた住居が作られるようになりました。
氏が目にしたそれらの建造物は、土の塊のようなもの、木を加工したものと、「今にも、もろく朽ち果てそうなものばかり」だったと言います。


自然の再利用 ── 変えることで守る

「朽ち果てる材料」をいかに守るか。
これはイロクァイ族とアジア建築に共通に見られる特徴だと氏は言います。「守る」は「変える」とも同義で、たとえば日本では、収穫後の稻を縄やむしろの材料にしたり、住居で使った木の柱を加工して再利用するなど、自然をリサイクルする文化が古くから続いています。

特に建築においては、建材である木々の利用方法が重要です。
屋根のアーチ型に合うように曲がって伸びるよう植林された木などは、積極的に自然の力を活かした事例といえるでしょう。その一方で、戦後の大量な植林の結果、頂上付近の木を切り出すのが困難になっている、という日本林業の問題点も氏は指摘します。


風土を反映した建築のあり方

田園地帯を見る、米を作って食べる、という当たり前のことから「風と土の匂いを感じる」という丸山氏。建築デザインにおいても、日本の自然を第一に考えていると言います。

おのずと日本古来の文化を意識したデザインが多い丸山氏の建築。
それらは、建材にコンクリートではなく木材を多用したり、縁側や庭園の雰囲気を持った中庭や屋上広場の設計などに見て取ることができます。縁側やひさしなどは、古くは大和絵に描かれているほどで、古くからの日本独自の建築様式なのです。



「風土に合った建築」を目指し、それを建築設計にも実践する丸山氏。
もちろん実際には資材調達や採算性の問題も建築の大きな要素であることを確認し、「全てを自然の素材だけでデザインするのは不可能で、機能性を重視した新しい材料(アルミ、鉄など)との折り合いももちろん大切」とも言います。
現代に生きる建築家として風土を確固たる基盤にしながら、時代性も考慮した建築を考えていかなければならないことを、改めて教えてくれました。
CLEAR.GIF 丸山欣也氏
丸山欣也氏
1959年、桑沢デザイン研究所卒業。'62年、早稲田大学理工学部建築学科卒業。'64年、J.R.ダーブレー建築設計事務所(スイス)勤務。'68年、アトリエ・モビル設立。
建築受賞に、沖縄県名護市庁舎競技設計一等入選('86)、ハワイ・ロア大学芸術学部校舎競技設計一等入選('86)、フランス・ディデロ中学校舎競技設計一等入選など。
東京、パリ、ウィーンなどで家具展、建築展の開催のほか、ロサンゼルス近代美術館、カリフォルニア大学、シドニー大学、ドイツ・アーヘン大学、イリノイ大学、ユネスコ・マカオ会議、ミシガン大学など、世界各国で建築や自然に関する講演も行っている。
現在、アトリエ・モビル代表のほか、ペンシルベニア大学大学院建築科客員教授、早稲田大学講師も務める。




講義風景







講義風景

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