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桑沢デザイン塾・レポート

桑沢デザイン塾 連続塾<風土と建築> 1
デザイナー

井上耕一

アジアの風土と少数民族の住居

 

アジアへ

桑沢デザイン研究所の授業では、欧米中心の近代デザイン史や近代建築史、デザイン概論を担当し、ヨーロッパやアメリカに何度となく出かけている井上氏。そうした環境にありながら、なぜ自分がアジアにも足を向けたのか。その説明から講義を始めます。
その理由として、インドシナ半島の付け根にあたる中国との国境地帯に生活する少数民族の存在をあげます。ここでは今なお、近代化されていない生活文化が見ることができるのです。
入国許可の問題もあり、最初はタイから、次いで中国から、そして今ではベトナム、ラオス、ミャンマーといった国々からも現地に入り調査しています。


風土と生活文化

今回、気候風土による生活文化の違いを説明するために、井上氏は4つの民族を事例としてあげました。
富士山と同じくらいの高地で(ラサで約3,600m)乾燥地帯である中国の西蔵自治区のチベット族。モンスーン地帯の山地に生活し水稲を作っているワ族。もう少し高いところで陸稲や雑穀の焼畑農耕を行ってきたタイのアカ族。そして、ミャンマーのインレー湖に水上住居を建てて生活しているインダー族。こうした4つの生活文化を取り上げ、いかに風土に対応して時代ごとの政治的・社会的制約を受けながら生活してきたか、スライドに解説を加え見ていきます。


風土に適した生活の見直し

近代化は、私たちの生活を便利にすると同時に、多くのものを失わせました。その便利さは、膨大なエネルギー消費に支えられ可能になっています。現在の先進諸国で成立している生活を、発展途上国を含めた世界の他の国々全てで行うことは、エネルギー消費から考えても不可能なことと言われています。
ミラノ工科大学教授E.マンツィーニ氏の「一人あたりのエネルギー消費を現在の20分の1にしないと世界は立ちゆかなくなる」という言葉をひいて、20分の1とはいかに大変な数字であるか、現在がいかに危うい状況にあるか訴える井上氏。
欧米における「シンプル・ライフ(簡素な生活)」の提唱は、この考え方とつながっています。風土に根ざした生活文化のあり方をもう一度見直し、総体としてエネルギー消費量を減らしていくことを目指すライフスタイル。21世紀には、ますます大きな課題となっていくことでしょう。

「少数民族の生活文化を通して、幾分たりとも、気候風土との関連で成り立ってきた生活文化の持つ意味を理解してもらえたら」と井上氏はまとめ講座を終えました。

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井上耕一氏
1961年、桑沢デザイン研究所卒業。卒業後、桑沢デザイン研究所教員につき、現在まで教授としてデザイン理論を教える。教職のかたわら、ここ十年来、東南アジア、中国、中近東など各地の少数民族を訪ね、生活や住居などを調査・研究している。







講義風景







講義風景

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