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<JDN> <REPORT> <桑沢デザイン塾>
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1999年 6期 桑沢デザイン塾<グラフィックデザイン> 2
アートディレクター

葛西薫氏

葛西式アートディレクション

  ‘鉄の町’北海道室蘭市で育った葛西氏。地元産業の柱である製鉄所が出す黒煙や灰色の空から、「世の中は完璧ではなく不安だらけ」という印象を受けたそうです。そんな環境から抜け出したいという気持ちが、デザイナーへの志を決定したと振り返ります。


無彩色の街

室蘭での思い出は「製鉄所」と「港」。「色の記憶がない」と葛西氏は言います。
たとえば、車が港の漁師の間をすり抜ける、といった港町を題材にした高級自動車のテレビ広告。幼い頃に見た慶事や弔事のときの背広姿の男をイメージして作られたという、モノクロスチルを中心にした広告。
少年時代の強い記憶なのか、葛西氏の手がける広告には、しっとりとした落ち着きとモノクロ調で表現される陰りがあります。


「青春とは、若さとは」

『青春の蹉跌』
*に感銘を受けたのを機に、「青春とは、若さとは」という問いを追求するようになったという葛西氏。
「カッコ良さではなく、やりきれなさだ」という結論から表現を考えたCDプレーヤーのCM。凛として歌う若者を、画面いっぱいに映し出します。その表情から感じるのは、カッコ良さというよりも、何かを伝えたい真剣さともどかしさ。
化粧品のCMでは、素顔の女性の「若さ」そのものを強調。光り輝く一方で、生きることへの不安と弱さをはらむ青春時代を表すために、モデルに素人を起用し純粋な「青春」の美しさを見せようと考えます。


軟(ナン)尖(セン)ス

「軟らかいようで尖っている」「飾りっ気がなくて面白い」。ナンセンスを説明する氏。
‘色っぽい桃太郎’‘ヘヴィメタルの金太郎’などの実験的な表現、「August」(8月)を「8ugust」と表したり、色鉛筆が色鉛筆を持っている絵など。自ら言うところの「インチキくさい」広告群。
絵や文字にユーモアを加えて視覚的に表現することで、「意味があって意味がない」独特なナンセンスの世界を作り出しています。


「『アジアの中の、日本の中の、ある地方のある男のデザイン』だと思っている」と葛西氏。
大きな評価を得ている、サントリーのウーロン茶のCM。これもプレゼンテーションの段階では、日本の歌を中国語で歌うことを「わかりづらい」と評された、と言います。同じような例として、日産の高級車シーマのCMでは「暗い」「寂しい」といった評価ばかりだったことなどをあげます。
このようなクライアントの意向とかみ合わなかった体験にふれて、「ちっとも反省していないんですよね」とサラっと言ってのける葛西氏。

講座最後に最新作CMの上映を行いました。心和ませるウーロン茶、ぬくもりとノスタルジー溢れるウィスキー。
色のない街に育った氏ですが、日本人の心に訴える色彩感覚には常ならぬところがあるようです。

CLEAR.GIF 葛西薫氏
葛西薫氏
 
 
 
 
 
 
*石川達三著、蹉跌(さてつ);つまづくこと


葛西薫氏
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
葛西薫氏

 


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