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桑沢デザイン塾レポート

1999年 5期 桑沢デザイン塾<プロダクツデザインの21世紀> 5
IDEO japan代表

深澤 直人

 
世界11カ所にオフィスを持つ製品開発デザインコンサルティング会社、IDEO日本支社の代表である深澤直人氏。「日頃わたくしがデザインについて考えていることを、幾つかの事例をお見せしながらお話ししたいと思います」。


幻想(illusion)と現実(reality)

一般にデザイナーは幻想的な夢を具現化し、生活者は現実の中で生きていると思われがちであるが、むしろ人は幻想を見、デザイナーはより現実(reality)を見ることができるのではないかと思います。たとえば、点灯した電球の形を誰もが立体としてとらえているかもしれないが、点灯した状態の電球には影が存在しないので立体として認識できないのではないか。影と光によって人は形を認識しているとすると、現実としては、点灯した電球を見ると空間に穴のあいたように見えるかもしれない。このように人は現実を自分なりの解釈によって変化させてものを認識している場合があります。「認知はすれど気づいていないということ」はデザインの可能性を無限に広げる鍵になります。


デザインを感じるレイヤー

デザインを感じる幾層ものレイヤーがそのものに深みを与えていると思います。人によって理解する層の深さは違えど、その層なりに完結した満足を与えなければならない。
いいデザインに会うとその奥の層を見ようとして、目の焦点がぼやけることがあります。


寿司と醤油

アイデアは寿司で美しさは醤油のようなものです。人は醤油をつけて寿司を食べますが、その間隔は醤油ではなく寿司の味を味わっている。醤油はアイデアを最大限に生かすことであって、独自で美しさの存在を誇示しようとするものではない。長い間デザインはこの美しさを誇示することであると誤解されてきた面があります。よいアイデアをいかに純粋にデザインするか、これをExecution(できばえ)といいますが、それは単に形や色のことではないのです。


モラルと暴力

かつて路上に捨てられたゴミは丸められていた、あるいはつぶされたものだった。形を丸めたりつぶしたりする行為はそれをゴミ化することで、それを路上に捨てることはモラルの欠如として判断された。最近は丸めないゴミや歩道の真ん中におかれたつぶされていない空き缶を見る。これはモラルではなく暴力かもしれない。悪いという認識を持って犯すことはモラルの欠如として論議できるが、悪いことという認識を持たないということは論議することができないので解決が非常に難しい。白と黒とか右と左、上とか下という両方の存在を知った上で、いずれかに身を置きたがることは理解できる、反対がないということはとても危険なことで、最近その危険性を強く感じます。これはデザインを論ずる上でも大変やっかいな問題でもあります。


続いて、デザインワークショップでのデザイン事例をつかって、発想の視点やアイデアの意味が説明されました。講義後の質疑では、ミニマルデザインやコミュニケーションデザインについてもお話を聞くことができました。
 
CLEAR.GIF IDEO(アイデオ)
http://www.ideo.com/
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