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桑沢デザイン塾、第6回目のパッケージ講座は、グラフィックデザイナーの佐藤卓氏です。「講義の順序が、私が大先輩の後になっており、何を話していいのか・・・。」という佐藤氏ですが、ユーモアにあふれた講義は、受講生の笑いが堪えず、大変明るい雰囲気の中で進みました。
物づくりの楽しさに引かれて
「デザインについての姿勢や考えは、育ちや環境から必然的に出てくると思う。」と言う氏は、自身の環境の話から始めました。「自分はTVと共に育った最初の世代で、70年代ムーブメントの中で学生時代をすごした。就職した広告代理店で、新しいウイスキーの提案を、商品企画から行う、という当時では珍しかった仕事に携わった。ウイスキーを余り飲まなくなった若い人に、商品をどうアピールするか。ターゲットである自分達の世代と、決定権を持つクライアントの世代の、価値観のギャップを説明しなければ理解されないと思った。そこで、身の回りにある物から、興味のある物まで、自分の生活を例に出して説明し、ようやく納得してもらった。その商品が、ニッカの『ピュアモルト』で、その後、自分がデザイナーとして独り立ちする事になった。」と話します。
「パッケージについて正式に勉強したわけではないので、今でも自分のやり方が正しいのかどうかわからない。ただ、経験した事の無いジャンルの仕事も、躊躇せずに次々と受けていった。まずその企業には、どういう背景があり、商品はどういうものが売れるのか。自分なりに徹底的に分析する。その上でコストなどの様々な要因は、後からクリアしていく。自分が感じるイメージを優先して、デザインを考えていった。まさに物をつくる楽しさを感じていたのだろう。」と続けます。
クールミント・ガムのリニューアル
氏は、有名なロッテのガムのリニューアル・パッケージについて、「パッケージデザインは、リニューアルの方が新製品よりも、ずっと難しい。特に、リニューアルする商品が、会社の顔とも言える商品の時は、いままでの財産をデザインにきちんと残す必要がある。クールミント・ガムの時は、以前のイメージの中のペンギンを使う事によって、商品が培ってきた伝統、信頼性を継承しつつ、表現を変えて、新しいフレッシュさや若々しさを出した。」と語ります。大成功したクールミント・ガムのパッケージで、5匹並んだペンギンの前から2匹目だけが手を挙げているのは、有名な話です。氏は手を挙げている1匹を、サラリーマン社会の中間管理職に例えて、面白おかしく解説しましたが、「実際は、5匹まったく同じものを並べて見たら、どうもしっくりこなかった。またお菓子そのものが、生活の中ではエンターテイメントである。それならば、パッケージにも遊び心があっていいではないか、と思った。」と話します。
デザイナーの個性とデザインの個性
「パッケージに対し、作品という意識を持つべきでない。」と氏は言います。「マスプロダクトの世界は、物が魅力を持つべき。デザイナーは商品を助ける存在に過ぎない。デザイナーがその事を理解しないで、自分の個性を押し付けるようなデザインにしてしまうと、デザイナーの為のブランドになってしまう。」と語ります。
また、「慣れはよくない。慣れると、考える事無しで、いくらでもデザインはできるような気がしてしまう。いつでも、すぐにニュートラルに戻す。どこにギアをいれるかは、毎回違うものであり、出来るだけ自分のスタイルを固定せずに、白紙の状態からいつでもスタートできるようにするべきだ。」と講義をまとめました。
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