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桑沢デザイン塾

2003年1期 ファッション 第5回
ギャルドU・S・P取締役プロデューサー 谷口 晴彦
ファッションビジネスにおけるインテリアおよび商業デザイン

アパレル、飲食、大型商業施設等の企画・設計・施工を行うギャルドU・S・P。「社名はフランスのアバンギャルドに由来しています。アバン、を取ってギャルド、それにアーバン・スペース・プランニングをくっつけた名前です」。
「商業施設のプランニングや、ブランドの立ち上げ、また、ロクシタンやジルサンダー、アルベルタ・フェレッティ、バーバリー…といった海外ブランドショップの企画設計、百貨店やショッピングセンター、飲食店のデザインを手掛けています」。

商品を並べるだけでは売れない現在、店鋪環境やプレゼンテーションの重要性がますます高まってきています。
「最近の仕事でいうと、モデル・冨永愛の店『Deep Sweet Easy』や六本木ヒルズの『ESTNATION』、青山にある『Angelo Japanese』」。これらの実例を紹介しながら、実際の仕事の様子を説明します。
 
■ イメージを聞き出し、具現化する仕事
「『N-1』といってもピンとこないと思いますが、東京・日本橋、旧東急百貨店の跡地プロジェクトです。デベロッパーが東急グループと三井不動産。メリルリンチ証券のオフィスが6階から上に入りますが、地下1階から地上4階までは商業施設になります。道路に面した側は湾曲したガラスになっているダイナミックな形が特徴です」。

「コンセプトはequilibrium=釣合い。TraditionalとRevolutionaryの対比をテーマに、秩序を保ちながら曲線を用いる、たとえば通路の片側は真直ぐ、反対側は曲線にする動線計画。そのバランスをとる、というのがコンセプトに含まれた意味合いです」。
基本となるイメージは、日本的な和紙張りの行灯(=Traditional)と竹を編み込んだ有機的な曲線のオブジェ(=Revolutionary)。
「最終的にこのイメージを受けてデザインに落とし込んでいくのが我々の仕事です」。「デザインキーワードは『アップデート・クラシカル』。こてこてのトラッドではなく、現在進行形の伝統を活かす考え方です」。

「商業施設を大きく分けると、郊外型の大型店舗、百貨店、バーニーズや和光、ESTNATIONなどのスペシャリティストア、ブランドのフラッグシップショップ、の4つになります。この『N-1』はその中だとスペシャリティストアに近く、特色ある都市型のビルにしようという試みです」。

「我々自身のことを『コンストラクション・ディレクター』と紹介しています。どんな役割があるのか?というと、二つあげられます。一つは、スケジュール監理。つまりコスト管理に直結する役割。もう一つはクオリティ管理、これはコンセプトの実現に必要な仕事です」。
「デザイナーが絵を描く、次に見積もりをする。予算に見合わない、デザインの見直しをする、再度見積もり、また予算に合わない…。繰り返す悪循環によって、デザインがコンセプトからずれていきます。こうして中途半端な妥協の産物ができ上がるわけです」。「そうならないために、強いリーダーシップとバランス感覚をもったディレクターが必要なのです」。
 
■ デザイナーとのコラボレーションでコンセプトを形にする
「次に『ESTNATION』の仕事を紹介します」。
「店舗の中にある柱と柱の間隔はたいてい8m前後です。百貨店は柱の周りに通路を設けて売場を区分けていきますが、だいたい昔から柱をどうしようかというのは頭をかかえる問題になる。邪魔な存在なんですよ。棚を付けるとかハンガーを取り付ける、あるいはミラーをつけて逆に存在感を消すとか…」。

「『ESTNATION』のインテリアをデザインしたクリスチャン・ビシェール*1はこの柱を大きいボックスで囲ってしまいました」。
黒板にフロア平面の模式図を書き説明します。「ボックスは、全て垂直で並行な長方形ですが、大きさは不揃いで広がりの方向も違えた囲いです。そして、互いにエンドラインを合わせないように配置してあります」。
「そのボックスの中にレジを入れたり、フィッティングルームを作るという手法」。柱の周りに天井まで届くほどの壁があり、柱の形を感じさせません。
「ボックスに入り口がついているイメージです。床のデザインはその囲いの角から角へとラインを結び、同系色のグレーで統一しながらも、ラインで仕切られた部分ごとに素材を変えてあります。カーペットの隣に石が敷いてあったり、ラバーだったりする」。
「クリスチャン・ビシェールがすごいのは、こちらの提案や要求に対して柔軟にあらゆる変更や新しいアイデアを出してきても、当初のコンセプトから絶対に外れないところ」。「『ESTNATION』には日本的な格子柄を平行のままぐしゃっと斜にずらしたモチーフのイメージがあります。彼は床と柱まわりの処理方法でそのすべてを具現化してみせたのです」。
 
    谷口 晴彦氏
谷口 晴彦 氏
 
たにぐち はるひこ
ギャルドU・S・P取締役プロデューサー

株式会社ギャルド ユウ・エス・ピイ
http://www.garde.co.jp

 
 
 
 
*1 Christian Biecher  建築家、インテリアデザイナー。1963年フランス生まれ。美術館展示、プロダクトなど多岐にわたるデザインを手掛けている。2002年、パリ装飾美術館ギャラリーにて「クリスチャン・ビシェール、ビフォア」展が開催された。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
講演の様子

 
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